新・デジタリアンの散歩道

デジタリアンが取材したデジタルなニュースをお届けしています。

日本橋を創った男たち  蘇建源「街のコンシェルジュ」

◆街を活性化させようと2005年から始まった「日本橋ストリートフェスタ」は共立電子産業の蘇建源会長らが先頭に立って、警察や府市へ長年にわたって働きかけたことによって実現したものだった。第1回目の同ストリートフェスタには、ほぼ半日で街には約20万人もの人たちが集まった。日本橋が街を挙げて祭りを行う-といったニュースはたちどころに全国へ伝わり、各地から日本橋ファンが駆けつけたのであった。


 その後も毎回20万人を超す人たちが日本橋に集まってくる、大阪市内でも屈指のイベントにまで日本橋ストリートフェスタは成長している。ところがそれを境に日本橋はアニメ、コスプレ、ゲームなどポップカルチャー色の強い街へと急速に変化していく。
 1950(昭和30)年代から電気製品が安く買える街として全国へその名を轟かせた日本橋電気街だったが、街を取り巻く環境は大きく変化していることは誰の目にも明らかだった。
 街の人たちも「これからは電気・家電の購入を目的にした日本橋商店街への来街者が減少し、商店街が衰退していくのではないか」と危機感を抱き始めていた。

 そうした街の変化とともに始まったのが街の美化運動であった。日本橋筋商店街振興組合が中心となって2009(平成21)年9月1日から施行している「環境美化条例」は、その運動を具体化させる街の取り決めで、街が生き残るもうひとつの具体的手段であった。

 その条例は歩道の清掃・ゴミの処理、自転車の通行・駐輪、広告・展示、商品展示、店舗の宣伝音響、動物の餌やり・糞尿処理、防犯・ホームレス対策といった7項目にわたって具体的な申し合わせをしている。

 清掃・ゴミの処理についての取り決めでは「タバコ、飲料缶、食料容器、紙くず、チュウインガムなどの散乱防止について、来街者の意識の啓発に努める」として、環境美化の日を制定して組合員共同で清掃作業と啓蒙活動を行うといった具合である。


 全国的に問題視されている自転車問題については、歩道での自転車通行を認めているものの「アーケード(歩道)での通行は歩行者にとって危険であり、自転車利用者に自転車を降りて歩行するよう促さなければならい」とするなど、誰もが安心・安全に買い物ができる環境作りを呼びかけている。

 また商品展示についても「アーケード通行の妨げになるはみ出し展示はしてはいけない」として、商品や立看板、陳列ケースなどの展示を禁止している。はみ出し展示を行う店舗には「やめるように勧告し店舗はこれに従わなければならない」と強制権を持たせている。

 「環境美化条例」が施行された頃、蘇会長は電子工作教室の開設を提案して次世代の日本橋ファンを育てたり、ロボットといった新しい技術力を学び人脈を作ろうとロボット連絡会といった新しい組織を作っていったのは、そうした危機意識を払拭し、街の活性化をねらうインフラ作りであった。
 サテライトスタジオを日本橋総合案内所に併設してDJを通じて若い来街者への情報発信をねらったインフラ造りであった。
 蘇会長は「街をコンシェルジュ化して来街者に楽しんでもらうのは、この時よりもずっと以前から描いていたもので、それが今までにひとつずつ実現している」と話している。

 

 

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タブレット端末、過半数が毎日使用  大半が購入に満足  GfK Japanが利用実態調査

タブレット端末所有者の半数以上がタブレットを毎日利用していることがジーエフケー マーケティングサービス ジャパン(GfK Japan、東京都中野区、藤林義晃社長)の調べで分かった。タブレット端末所有者の51%が毎日利用しており、スマートフォンを持たない人に限ると63%が毎日使っており、使用頻度が高く、全体の約8割りがタブレット端末に満足している結果が出ている。

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 調査は2015年9月18日から28日にかけてインターネットで、18歳から69歳の男女、約6700人 (うちタブレット端末所有者は約1400人)を対象に利用頻度と満足度、購入意向について質問した。

 タブレット端末の2015年の個人向け販売台数は、前年を8%上回り約480万台に達すると見込まれている。携帯電話専門店では15年1月から11月の11ヶ月間の販売台数が前年比55%増を記録しており、タブレット販売全体をけん引している。これは端末や通信費の割引キャンペーンが功を奏して新規のユーザーを獲得したからと見られている。

 利用頻度では、最も多かったのが「毎日使用する」で、51%を占めている。「週2~3回程度」が17%、「週1回程度」が10%と、総じて定期的に使用している様子が伺えた。その一方で「ほとんど使用していない」というのも17%あった。

 タブレット端末所有者のうち、スマートフォンの非所有率は31%であったが、スマートフォン非所有者に限ると「毎日使用する」とした割合は63%で、使用頻度が上がることが分かった。

 

■8割りが満足

 

 タブレット端末の「価格」「軽さ」「画面サイズ」「操作のレスポンス」の満足度は、いずれの項目でも高い満足度が見られ、「購入前の期待通りに使えている」と答えたのは83%になった。

 とりわけ「画面サイズ」では90%が「満足 」しており、使用用途に合わせて適切な画面サイズを選択していることが分かる。
 「軽さ」については76%が「満足」とし、これまで画面サイズの大きいモデルは「文字が読みやすい」など一定の評価を得ながらも「重たい」と指摘する声も多かった。しかし軽量化が進み、持ち運びやすくなったことで、この不満も解消されつつあるようだ。

 

■買い替え・買い増し意向は不明瞭


 タブレット端末使用者の買い替えや買い増しへの意向は、使用頻度や満足度の高さからすると、それほど高くないとも言える。
 「1年以内に端末を買い替えるか買い増す」のは15%で、「使用端末が壊れたら購入を検討する」は27%にとどまっている。調査を行ったGfK Japanによると「機能や価格面の不満が少ないことを考えると、今後の市場拡大のためには使い方の提案をしていくことが需要をを高めることになる」と指摘している。

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 新規ユーザーの獲得も欠かせず、調査によるとタブレット端末の非所有者は79%いたが、そのうちの約4分の1は購入意向があることも明らかになっている。こうしたことから使い方のノウハウを提供するなどしてタブレット端末の魅力を幅広くアピールしていく必要があるようだ。




パナソニック、京都大学と非接触で心拍間隔を計測する生体情報センシング技術の開発に成功

パナソニック京都大学のCenter of INNOVATION(COI)と共同で、離れたところから非接触で高精度に心拍数と心拍間隔を計測できる「生体情報センシング技術」を研究・開発した。高感度なスペクトラム拡散ミリ波レーダー技術と特徴点ベースの心拍推定アルゴリズムで、心電計相当の精度で心拍間隔をリアルタイムな計測ができる。これによって測定時にストレスを感じることなく、カジュアルな生体情報センシングを可能にし、日常の健康管理や高齢者の見守りなどをシステム化して、カジュアルセンシングの普及につながるものとみられている。

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 非接触型の心拍間隔計測の生体情報センシングは、パナソニックの「スペクトラム拡散ミリ波レーダー」の技術を応用した。高感度なスペクトラム拡散レーダーをセンサーとして用いて、独自の信号処理技術を組み合わせて、心拍計測に影響を与えるノイズを除去して心電計と同程度の高感度な心拍/心拍間隔測定を実現した。

 その結果、呼吸や心臓の鼓動に応じて動く人体の表面から、わずかな動きを高感度に捉えることを可能にした。同時に1台のレーダーで複数の人の動きの同時計測ができるようにしている。
 生活習慣病の予防や日々の健康増進のために生体情報を常時モニターし、健康を管理したいという人たちが増えている。この技術はそうしたニーズに応えるもの。

 今までモニターするために必要だったセンサーシステムは、小型であっても身体に接触・装着することから、測定時にはかなりのストレスを感じさせていた。今回の技術はカジュアルな生体情報センシングによって、ストレスフリーのセンシングを可能にした。
 電波やカメラを利用した非接触の生体センシングも提案されている。ところが接触型に比べると精度に課題があった。

 計測されるレーダー信号の中には、心臓の鼓動、呼吸、体動などによる信号が含まれる。京都大学はレーダー信号の中の心拍信号について位相特徴点を抽出し、特徴点の時系列パターンから心拍間隔を推定する独自のアルゴリズムを開発。
 それによってレーダー信号から呼吸信号、心拍信号を分離して、平均心拍数だけでなく、リアルイムで心拍間隔まで測定することを可能にした。
 ミリ波レーダーの電波は衣服等を透過するため、着衣時や就寝時に関わらず、呼吸や心拍を常時モニターすることができる。

■日常生活を見守るカジュアルセンシングシステム

 今回、心拍間隔をも正確に測定することが可能になったため、日常生活や仕事の作業を妨げることなく、心拍間隔変動から自律神経の状態を推定することも可能になったことで、家庭やオフィスでごく普通に活動しながら、健康状態やストレス状態などを測定できるようになった。

 パナソニック京都大学では、今後、試作機を用いた実証実験を通じて、実生活状態での生体情報のカジュアルセンシングを実現し、得られた生体情報を用いた健康管理、アドバイスなどのシステムや応用サービスに仕上げていきたいとしている。




蘇建源(共立電子産業会長)インタビュー 「次の世代を育てて顧客拡大へ」

日本橋の新たなファンを育てようと始まった日本橋電子・ロボット工作教室。そのきっかけを作ったのは共立電子産業の蘇建源会長であったことは、すでにふれた通りである。今まで数多くの小中学生に電子工作の楽しさを教えながら、電気の街の魅力も教えてきた。そこで学んだ子どもたちの中には、電気系の学校や企業へ進んだケースも少なくはない。手作りロボットを競い合うロボカップの世界大会で優勝する子どもたちもいた。その彼らがさらに年下の子どもたちの電子工作やロボット作りを指導するようになっているのだから、当初のねらいは少しずつ実現しつつある。

 

 電子工作教室やロボット教室は次世代の日本橋ファンを育てようと、今から15年ほど前に始まった。
 提案者の蘇会長がその成果に「手応えを感じている」というのも頷けるし、次の日本橋を支えるユーザーたちを育てる企ての「答えは出始めている」(蘇会長)のも、その通りである。
 そうした教室を支えてきたのは会社勤めの第一線を退いた、アマチュア無線のマニアや電気好きの人たちでもあった。無報酬で子どもたちの指導や教室開催の準備に携わってきた日本橋が大好きな人ばかりなのである。

 

 日本橋電気街の表通りの堺筋日本橋筋)からは家電専門店が姿を決してしまった。ところが逆にパーツショップは、東京などから進出する店舗が見られるなど、衰えるどころかエレクトロニクスモノづくりの街日本橋を支える重要な存在となっている。
 日本橋筋から一筋東へ入った通りが今「ものづくりロード」と呼ばれてパーツショップが集中している。エレクトロニクス系のモノづくりを楽しむ人たちにとっては、ニーズを満たしてくれる欠かせない街となっているのだ。

 彼らにとって電子パーツは欠かせない。たとえば電源を作ろうと思えばトランスが必要になる。アマチュアがそうしたものを容易に手することができるのは日本橋しかないのである。そうした商品を身近に供給し続けてきた日本橋の電気街は今、モノづくりパーツの街へと生まれ変わりつつある。

 

 日本橋は家電の街になる以前から部品の街であった。昭和30年代に家電の街に変貌する以前、戦後の復興期にまず1店2店と軒が並び始めたのはラジオパーツをはじめとする部品店であった。電気街日本橋は部品(パーツ)の街として発展し、今日の姿を作ってきたと言ってもいい。

 その中でどちらかと言えば後発の共立電子産業は、ジャンク品の販売からスタートして、ICからマイコン、パソコンへと扱い商品を拡大して日本を代表する電子部品専門販売店にまで成長している。

 安いものを買って完成度の高いものを作ろうという四畳半メーカーやベンチャー企業の経営者や技術者たちは、そうした日本橋のパーツショップの売り場に潜むジャンクなどの商品から自社製品のアイディアを得て、日本を代表する企業へと成長して企業も少なくはない。

 

 

蘇建源インタビュー(共立電子産業会長) 「小さなユーザーを大切に」

◆大阪・日本橋の電子部品販売会社・共立電子産業は、電気製造に携わる人たちにとっては多かれ少なかれ欠かせない存在である。同社で部品を購入して、製品開発をする人は少なくはないし、日本橋で部品探しが高じて事業を大成させた人もいる。取引メーカーからCPUの勉強を求められて、日本橋へ足を運び部品を学んでビジネスの元を築いた人もいる。そのニーズを満たしてきたのが共立電子産業であった。そして次の段階として新しいユーザーを開拓し、育てることを目的に始めたのが子どもたちをターゲットにした電子工作教室であった。

 

 共立電子産業のユーザーの中には、日本橋を足がかりにして株式上場を果たしたり、規模を拡大していった企業がたくさん存在する。それも同社がジャンク品をはじめ扱いジャンルを特化しない数多くの電子部品を提供し、客のニーズを満たしてきたからである。

 ジャンク品販売に見られるように共立電子産業は、部品一点ずつに付加価値を付けて販売するノウハウを確立することで利益率を高め経営の安定化の礎を築いてきた。それによって利益率を高めてきたのだ。

 企業やそこに勤める人たちだけではなく、子どもたちも同社にとっては立派なユーザーである。その小さなユーザーを育てることで将来のビックユーザーとして日本橋のファンになってもらおう、と同社が日本橋で始めたのが電子工作教室だった。

 今では街の事業として電子工作教室だけではなくロボット教室も継続されている。

 そこに集まってくる子どもたちは、教室で自分が使う部品を日本橋にある部品店で買い集めるところから始める。

 電子部品の単価は低いから全部買い揃えても数十円といった金額である。店頭では店員が子どもたちの質問に、まるで高額な最新機器を販売するかのように分かりやすく丁寧に説明をして応えている。

 「この姿勢が将来、子どもたちが店を助けてくれることになる」と蘇会長は信じて疑わない。

 日本橋に多くの部品店が存続しているのも、そうした1人ひとりのユーザーとのつながりを、多くの店が大切にしてきたことがあるからだ。

 共立電子産業は創業時のジャンク品販売から、正規部品へと扱いをシフトしてきた。そうした中、部品流通はメーカーとの直接取引から代理店を介したものへと変化する。にも関わらず大きな部品メーカーが直接、同社と取引を続けるケースがあるのは、その売り場での接客姿勢に共鳴する業界人がいるからである。

 蘇会長が提案して始めた電子工作教室やロボット教室も、そこで学ぶ子どもたちが日本橋を支えるファンになることをねらったものなのだ。

 

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大阪・日本橋    トラム導入の経済効果で研修会  大阪市立大学長尾謙吉教授ゼミの学生が調査報告

◆誰でも気軽に乗ることが出来て、外の景色を楽しめるエレベーターのようにトラムは地面を行く「水平エレベーター」である。大阪・日本橋阪堺線を難波まで延伸させて日本橋にトラムを走らせようとようと提案している「日本橋にトラムを通して賑わいを進める会」(蘇建源代表)が、2016年1月14日、大阪市浪速区日本橋筋商店街振興組合の会議室で開いたトラム研修会「LRT(トラム)とまちづくり 大阪ミナミの未来」で、大阪市立大学経済学部の長尾謙吉教授のゼミ学生9人がトラム導入に伴う経済効果を発表した。トラムを水平エレベーターにたとえる彼らは、トラムをゆっくりと街歩きを楽しむ新交通システムとして、観光客から1日ひとり11円以上の経済効果が必要といった日本橋トラム計画の課題も指摘した。

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大阪・日本橋へのトラム導入の経済効果を説明する大阪市立大学の学生たち 

 自動車中心の社会から脱却したいという風潮が高まり、欧米を中心に注目されているトラムとは一体どういったものなのかー。学生たちはそんなところから話を始めた。

 トラムは他の交通機関と違って誰もが利用しやすい交通機関であり、他の交通機関との乗り換えの連続性があるのも特徴。国内で唯一トラムが走る街である富山市でもトラムによる効果などについて彼らは現地調査を行っている。
 調査した富山市は市民アンケートで「トラム建設を評価する」と答えた人たちが80パーセントを超えていた。これについては「富山市全体の向上にトラムが貢献していることを認めていると認められる」と評価した。


 新交通システムのトラムは建設費や利用料がバス、地下鉄と比べて安いことや、環境に配慮している点のほか「自動車を徐々に排除して、人が歩いて楽しめるために街を活性化させるコンパクトシテイ作りに役立つ」など長所も指摘した。

 トラム導入の目的は「富山市福祉目的であったが、大阪の場合は観光が目的」であり、その大阪においては、天王寺からいずれも年間100万人の観光客が訪れているという天王寺動物園、新世界を経由して、日本橋筋商店街を北上。そして難波に到着するのがトラムの構想である。

 学生たちは「沿線には多様な魅力があり集客力ある街が点在しているが、それらをつなぐ交通機関がなく人々の回遊性が極めて低くなっている。それを解消するためにもトラムは必要」と、導入目的の観光を活発化させるためにもトラムが必要なことを指摘した。


 大阪におけるトラム事業の採算性はどうか。事業は継続できるのか。

 「運賃を100円均一で運用して、40年間運用しても建設費などを考えると成長性が乏しい、大阪府などの資料では挙げている」として、実際にかかる建設費用など支出と便益を金銭に置き換えて計算してトラム事業は社会に役立つものとはならないといった結果になってしまった」としている。

 しかしトラムは「道路やダムを造るのとは少し様子が違い、街の活性化、観光振興などの目的が大きい」として、今回、学生たちは「トラムが出来ることによって、今後増えるであろう観光客が消費する金額なども含めて考えなければならない」として、必要な9億7800万円の経済効果を算出した。それは観光客1人当たり1日11円の支出が必要となるが 「この数字からトラムが市民に受け入れられる交通機関としての可能性が高いことを証明している」とする。

行政が行ったWebアンケートのうち近畿圏在住の回答者のデータから、トラムが導入された場合の目的地は、なんば、天王寺が80パーセントと過半数を占め、多くは商業施設であった。
 「トラムがあれば利用するが、日本橋、新世界へという回答が少なかったのが気にかかる」として、街作りという魅力ある課題として残るとしている。




シャープ AQUOS、ヘルシオ、プラズマクラスターに集中した国内営業を展開 液晶テレビはシェア40%を

◆シャープは2015年11月、主力商品の現状と今後の国内営業の戦略に付いての説明会を同社の液晶テレビ工場である栃木県矢板市早川町の栃木事業所で行った。国内営業の説明にはシャープエレクトロニクスマーケティングの宮永良一社長、同居石勘資専務が出席。宮永社長は重点ブランドにあげる液晶テレビAQUOS、健康家電ヘルシオプラズマクラスターPCIをそれぞれ市場環境の変化と販促策を説明した。居石専務は「原点回帰」の営業への支援を求めるとともに、具体的な成功事例を交えて販促策を説明した。この日は液晶テレビの製造過程など工場の見学会も開き、50型以上の大型液晶テレビを製造する様子をアピールした。

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シャープエレクトロニクスマーケティングの宮永良一社長

 液晶テレビAQUOSの取り組みについて宮永社長は「4Kテレビの実売金額シェアは、15年6月に発売したハイグレード/スタンダード(US30/U30)のヒットで10月には全サイズで30%弱、50型以上で37~38%にアップしている」としたうえで、2015年度の見通しについて「今年度上期にはAQUOS史上最高画質の80型・4K NEXT(8K相当)が加わり、下期には11月に70型の高音質タイプも発売。サイバーシアターを含む強力なラインアップで、シェア40%を見込んでいる」と強気の見通しを示した。

 業界初の商品が多く見られるシャープだが、健康家電ヘルシオにも11月5日からラインアップに加わった「ヘルシオHot Cook」も業界初。おまかせ無水調理ができる調理家電であるばかりではなく、健康調理という切り口でユーザーの食と健康をサポートを目指している。
 こうしたヘルシオシリーズは「計画の1.6倍の販売を目標に取り組んでいる」(宮永社長)ところだ。

 このところ商品ラインアップの拡充が進んでいるプラズマクラスターについて宮永社長は「さらにラインアップを強化する」として、現在の40%のシェアもさらに拡大させる方向だ。


 同社のプラズマクラスター搭載商品(PCI)はリビング、クローゼット、トイレ、玄関、洗面所、寝室、子ども部屋、車などあらゆる身の周りへと広がりをみせており「空気のあるところプラズマクラスター空間であり、一室に一台を目指してラインアップを考えている」(宮永社長)としている。


 これら主力3商品群のプロモーションを中心に強化している。
 「AQUOS、ヘルシオプラズマクラスターを軸にテレビCMを中心にした幅広い媒体でプロモーションを展開している」(宮永社長)といい、関連会社のグループの総合力を生かした営業を展開中である。


■気づきを促す需要創造営業を推進

 

 家電品は成熟商品が大半で買い替えが中心の市場である。こうした市場では居石専務は「気づきを促す提案活動で買い替えを誘うことが大切」として、それを実現させる様々な販促策を用意している。

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シャープエレクトロニクスマーケティングの居石勘資専務

 買い替えの動機となるポイントは製品の故障、引っ越し、新機種の発売などである。こうした機会をとらえて、最新の商品情報を提供し、新商品を体感してもらうことによって「楽しい生活への気づきを促す」(居石専務)としている。


 たとえば液晶テレビでは「AQUOS 4K NEXT 特招会」といった実売イベントが全国各地で行われている。「15年6~9月度には全国約100ヵ所で特招会を開き、これによって150万円を超えるテレビを1日に1台を実売した」(同専務)などの成果が見られる。

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 このほかにも健康生活への気づきを促す「健康快適家電フェア」や快適な生活・部屋を実現するための「プラズマ空間の提案フェア」などがある。また住環境にフィットした商品を提案することによって、410リットルメガフリーザー冷蔵庫は部屋のインテリアに合わせた5色のカラーバリエーションを揃えることで需要を喚起。「本体色のホワイタイプの指名買いが多いなど、カラー戦略に手応えを感じている」(居石専務)し、エアコンは「究極の暖房機として提案をしている」(同)ところだ。


 このように気づきと顧客との接点、価値を融合した需要創造営業の原点に戻った「MST-NK作戦」を今、展開しているところである。

 

 

 

 

 

日本橋のまちのことを話そう  理想の街の姿と実現させる具体策を検討  「日本橋にトラムを通してにぎわいを進める会」が開催

◆大阪・日本橋ってどんな街。かつては電気の街で通用したけれど、それも影が薄くなってきた。街の顔が分かりづらくなっている。ポップカルチャーやロボット、電気(電子もの作り)の街へと多面的になってきている。街に次世代型路面電車(トラム)を走らせようといった、とてつもない大きな計画も飛び出してきた。そんな日本橋の街の明日について語ろう-といったワークショップ「話そう 日本橋のまちのこと ~トラムの似合うまちってどんなん?~」が、2015年12月7日、日本橋4丁目の日本橋筋商店街振興組合会議室で開かれ、新しい街づくりについて多くの意見が出された。

 

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明日の日本橋の街について話し合われた

 日本橋のトラムを走らせることで街に賑わいを取り戻すとともに、緑あふれる美しい街並みを作ろう-と活動を始めたばかりの「日本橋にトラムを通してにぎわいを進める会」(代表・蘇建源共立電子産業会長)が行った。
 この日は日本橋で商売をする人たちや地元町会の役員、路面電車愛好家、大阪の文化を大切にしたいと提唱する大学の先生など、日本橋が大好きな人たちばかり20余人が集まった。

 ゲストスピーカーには関西大学環境都市工学部建築学科の岡絵理子准教授が招かれて「皆さん1人ひとりが街を元気にする人たちになって、その具体策を考えて下さい」と呼びかけた。


 まず出席者を3つのグループに分けて①日本橋をどのような街にしたいのか②そのためにどうすればいいのか-について語り合って、その後それぞれのグループが意見発表した。

■街の顔はなに?

 

 グループごとに参加者のそれぞれが考える理想の街とその実現方法について意見が出された。このワークショップでは「他人の意見を決して否定せずに聞くことが大切」(岡准教授)とし、そこから新たな気づきを作り上げていくことが求められた。


 グループ単位でまとめた意見はそれぞれの代表者が発表した。
 目指す街のイメージについては「商業地として復活させるべきだし、そのためには歩いて楽しい街にする必要がある。歩くように移動できるトラムを導入するのもそのひとつの方策。コスプレをはじめ路地裏に見られるようなニッチで意外性がある街を作ることも、日本橋の魅力づくりには欠かせない」などといった指摘があった。

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グループごとに意見を出した


 さらに「路面電車が復活したら、芝生を敷き詰めた軌道を採用して街の緑化を進める。それがかつてのメイン通りの堺筋の復権につながり、沿道にはギャラリーなども設けるのはどうか」といった意見も。
 やはり一番求められたのは大阪らしい街。それは「おもしろい街であり、雑然とした猥雑な街。街の顔がはっきりと分かることも必要だし、お金を稼げる街であることも大切」と、隣りの京都や神戸とは違った発想が目を引いた。

■若者のパワーを生かす街に

 それを実現させるためにはどのようなことを行うのか。次のような意見が各グループから出された。
 「魅力がある街にするために、分かりやすくゾーニングして、街歩きのコースの設定とモデルコースの提示をする」といった、街の魅力を再発見してもらう提案が出た。それを具体化するものとして「日本橋トータルとしてのSNSを利用した情報発信を行う。同時に街の歴史を次の世代に継ぐために動画配信によって、より多くの人に見てもらう」といった案が出された。

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たくさんの街づくりの具体案が出た


 既存のパワーを利用するという意見も。
 「今までに日本橋は電子工作教室、日本橋ストリートフェスタ、アニメ村、もの作りロードなど、いろんなものを作ってきた。それに自信を持って大切に育てるのも、魅力ある街を作る次の一手になる。また、専門性の高い人との会話を楽しんでもらえる魅力を創り出すべきだ」といった、かつて専門店が得意としていた専門知識による接客を街づくりに生かそうといったグループもあった。

 また若者のパワーをもっと活用させようと「日本橋は昔から若い人がたくさん集まってくる最先端の趣味の街だった。今もそれに変わりはなく、戦前から一貫して趣味の町であり、猥雑な街である。これがこれからの街づくりのキーワードになる」といった意見も。
 また「若い人がやりたいことを実現させて、情報発信していくことが街の発展にもつながる」としたものの、ただ日本橋はテナントの家賃が高く、若い人にとっては入り難く、障壁があることも現実のようだ。

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岡絵里子准教授
 ワークショップを指導した岡准教授は「熱いシビックプランがたくさん出てきていました。これから大切なことは、今まで街に来なかった人たちを巻きこんで意見を聞くことが重要になります。次回からはそれも進めていきたい」と話していた。


  

 

 

 

インタビュー びっくりポンのジャンク販売 ジャンクは商売の原点 共立電子産業代表取締役会長 蘇建源 第7回

◆再びジャンクに話しを戻す。
 「ジャンクは屑です。それを生かしてきたのが共立の原点です」
共立電子産業の蘇建源会長は常々そのように言ってきた。
 その屑の中から光る玉を見つけ出して付加価値を付け、長期間に渡って販売することによって、売上を伸ばしてきたのである。

 屑の山から美味しそうなものだけを持ってきて売るのは誰でも出来るが、見るからに屑を売れる商品にするのは、かなりの目利き力が必要である。蘇さんは「今どきいいジャンクなんてそう滅多にあるもんじゃない。よほど目利きが効かないと売れるものは見つけられない。しかも買ってきたものに付加価値を付けることで10倍、20倍、30倍になって売れる」と、ジャンクの醍醐味を話す。
 ジャンクは100円で仕入れたものであっても、1000円にでも2000円にもなる。

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シリコンハウスの店舗にはデジットの表示が

 世の中にないものを販売するのだから、買う人も喜んで買ってくれる。しかもどこへいっても競合するものがない。もしあったとしても、元はジャンクだから共立では安く売れる。そうして利益を得ることで経営面でもゆとりが出来る。共立電子産業が創業時から進めてきた商法だ。


 ジャンクの世界も変化してきた。
 コンデンサやトランスといった旧来からの商品とともに、世の中の半導体化が急速に進むに伴って、ICのジャンクが出回り始めるようになってきたからである。

 ところが蘇さんはICジャンク品の扱いにはノーと言ったのである。
 「ICは非常に複雑な回路を構成をしている商品ですから壊れても分かりにくい。ジャンクと言えどもは信頼性が第一だから、ICのジャンクを販売するのは危険なんです」しかも部品業界では、半導体からそれを集積したICへと変わろうとしていた。そんな中で「いつまでもジャンクばかりを販売していたのでは店を伸ばすことはできない」と判断した蘇さんは、ジャンクとICなどの店舗を別けるが、それはすでに触れた通りである。


 大阪・日本橋の部品販売会社はジャンク販売からスタートしたところも少なくない。
「同じように付加価値販売や扱い商品などを経て今日に至っているケースもあり、ジャンクは決して下の商品と位置付けられない」
 蘇さんは大学で機械を専攻している。謂わば部品を販売するのは門外漢であった。それが資金も何も持たずに部品の商売を始めるには、ひと皮むいたら美味しいものが出てくるジャンク販売は、まさに起業する格好の材料だったわけだ。


 ジャンクだけに限らないが、客が喜ぶ商品情報を商品に付けることで付加価値を高くすると良く売れる。今に続く共立電子産業の商売の基本である。
 トランスには電源トランスもあればオーディオに用いる出力トランスもある。それぞれ自ずと電力・電圧出力は違ってくる。そうしたことも教えるのは、ジャンク販売での接客では欠かせない。それが付加価値として、屑みたいなジャンク品が高い値段を付けることができるからだ。
 時にはジャンクに回路図まで付けて販売することもある。回路図にはトランジスターなどほかの部品まで型番入りで書き込んである。それが周辺の部品も付随して売れることになることがあるからだ。

 ガレージメーカー、日本風に言えば四畳半メーカーでは注文を受けた商品を作るのに、いちいち金型を作っていられない。ジャンク屋で代用できる商品を探すケースもある。
 そんな客が共立電子産業にはたくさんやって来た。今も来る。
 「ライターをカチッと押したら火花が飛びますが、その点火に用いられるのが圧電素子という部品です。ある時、その部品の新品ジャンクが箱入りで出たことがありました。それを販売する店では危険品扱いして持て余していたものを全部買ってきました。<近づけて用いるとICが壊れます>と但し書きして並べたんです。ところが飛ぶように売れた。中にはICが壊れることを逆手にとる想像も付かない利用を考えた人たちもあった」
 過去の話ではあるがこれも付加価値情報のとつであり、客がおもしろがる商品は売れるという一例でもある。

 このようにジャンクを売って利益を上げるのは、ひと工夫もふた工夫も必要で、ほかのどの部品よりも販売するのは難しいかもしれない。
 ICを売るためにジャンクをシリコンハウスからデジットへと移した。蘇さんは「そこでも私が教えた高付加価値販売を受け継いでくれており、マニアにとっては<おもしろい>と評判を高めている」といい、何が飛び出すか分からない「びっくりポン」のジャンク店を一般部品を販売する店舗から分離した一応の成果を得ているようである。


 

 

 

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インタビュー 客とのコミュニケーションが作った創業45年 共立電子産業代表取締役会長 蘇建源 第6回

■大阪・日本橋共立電子産業のブルーの紙袋を下げて歩く人の姿を見ると、現場を離れて30年もたった今も同社の蘇建源会長は思わずうれしくなってしまうという。長く売り場に立っていないと客の顔も忘れがちだが、たまに通りですれ違う人の中に「うちのお客さんや」という人を見つけることがある。その人もまた創業からの45年を支えてくれたひとりなのである。

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たくさんの人たちで賑わう共立電子産業・シリコンハウス

 社長から会長へと退いたというものの、時折、売り場に顔を出すこともある。そうすると古い客が蘇さんの顔を見つけて話しかけてくれる。
 「店員さんは親切でいい人ばかりですね」
 これねまたうれしい一言である。
 売り場に立つ社員は若く、自分が直接指導したものはいないが、かつて教えたことがそのまま受け継がれているのである。

 

 創業以来、同社の店はいろんな人が利用している。電子工作を趣味にする人たち。もの作り企業の経営者からその社員、さらには大学の先生や学生といった具合に多士済々である。ラジオを作るのが好きだった父親に連れられて日本橋には良く来たという女性は、成人してWebシステムの仕事をするようになったという。そんな人たちが今もたくさん集まってきている。

 「創業して15年ぐらいは売り場に立って、お客さんと直接に会話していました。もちろん業者とのやり取りも僕がやっていました。昔からできるだけ若い人に任せて育てたいという考えがあり、早い段階で現場は離れましたんです」

■うれしい電話

 短い期間ではあったが、蘇さんは若い社員たちに人とのコミュニケーションを大切にすることを教え込んだ。売り場での商品説明はもちろんのこと、電話での商品に関した質問にも丁寧に応えるようにと。それらはすべて自分がいつも行っていることばかりであった。それが今の社員1人ひとりに受け継がれているのだ。

 「電話での商品の問い合わせが多いんですが、販売に結びつかない恐れもあります。それでもいい加減な対応をしていてはいけない。まるで売り場で話しているように、丁寧な説明をしてあげることで、電話で買ってくれるお客も多かったんです」

 ジャンクからスタートして扱うパーツ商品もパソコンや半導体へと変化してきた。今、多くを占めているのはシリコン、コネクターから抵抗、コンデンサー、ロジックIC、CPUなど電子回路のパーツ類である。電線類も安定的に売れている。
 蘇さんは「メモリーは生ものなのと、しかも安く買って早く売らんとあかん」といい、それは主にパソコンのパーツを販売する店に任せてきた。

 支店のデジットで販売するオーディオ系や制御系の商品も安定して売れている。「ちょっと面白いパーツをマニアや教育関係など電子趣味人たちは今でも探していますね」と蘇さん。

 早い時期からパソコンの販売を手がけたことは、販売・宣伝の方法もいち早くインターネットを利用する方法を取り入れてきた。
 「インターネットはパソコンの延長線上にあるものなので、比較的早く取り組めましたね。それを使った宣伝をするところから始めました」

 共立電子産業は店頭販売とともに技術系雑誌を使った通信販売も行っていた。インターネットを導入するようになってからは、ホームページを開設して雑誌広告と連動させている。カタログをインターネットで配信するなど宣伝と通信販売を兼ねたようなものだった。徐々にインターネットにウエイトを移していき、2009年の段階ではネット通販は雑誌通販の倍にまで膨らんでいる。
 
 商品構成が電子部品の通販ではトップクラスだろうと見られている。
ところが扱う商品が小さいだけに、(ネット)通販の売上が増えると、宛先を書いて伝票を添えて梱包し、発送する作業が大変。人手もかかるしなどと蘇さんは笑っている。


 

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