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シャープ、透明の液晶ディスプレイの実用化へ向けて来年度から実証実験へ デジタルサイネージやゲーム端末に用途

◆シャープは、窓ガラスのように透明でありながら、その上にカラーの動画表示が可能な「シースルー液晶ディスプレー」を開発、実用化を目指した検証を来年度から約2年間行って用途開拓を進める。液晶ディスプレイでは一般的なカラーフィルターを使わずにフルカラーを作ることを可能にした。実証検証は、省エネに優れたクリーンデバイスを活用した社会の実現を目指す新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)の採択事業として進められる。

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透明なディスプレイに動画を表示できる 

 

今年1月に米・ラスベガスで開かれた全米家電ショー「CES」に、開発商品として出品していた。2015年6月30日にNEDOが発表した電子デバイス技術の用途拡大に向けたテーマに選ばれ、来年度から産業技術総合研究所と共に実証検証を行うことになった。

新開発の液晶ディスプレイは背景が透けて見えるのが特徴で、駅ホームの防護柵のように透明であることが求められているパネルに採用し、列車の運行状況などの情報を流すなどの用途が考えられている。パチンコ台のパネルにゲーム関連の情報を流したり、観光地などで背景の美観を生かした情報を提供するデジタルサイネージも可能になる。

 

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シースルー液晶ディスプレイの理論を説明する
シャープディスプレイデバイス本部表示モード開発センターの伊藤康尚所長

一般的な液晶ディスプレイは赤、緑、青の3原色を3つに分割してカラーフィルターを通して、その色を合成させることで色を表示している。
ところがシースルー液晶ディスプレイは、シャープ独自のIGZO液晶技術を応用することで、一般液晶の10倍以上の速さで3色の画面を切り替えることでカラーフィルターを使わずにすべての色を発色できるようにした。しかも色の透過率は従来の5倍で、色の再現性を高めている。

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ホームの防護柵にも利用が考えられている

大きさは60インチまだ対応でき、施設内の大型デジタルサイネージに採用することが可能になる。ゲーム端末や遊技場の遊戯機、インフォメーションパネルどにも応用できる。
パネル端のLEDから発するRGB光平板のスタンドアロンタイプと、箱の壁面でRGB光を反射させるボックスタイプを用意している。