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日本橋のまちのことを話そう  理想の街の姿と実現させる具体策を検討  「日本橋にトラムを通してにぎわいを進める会」が開催

◆大阪・日本橋ってどんな街。かつては電気の街で通用したけれど、それも影が薄くなってきた。街の顔が分かりづらくなっている。ポップカルチャーやロボット、電気(電子もの作り)の街へと多面的になってきている。街に次世代型路面電車(トラム)を走らせようといった、とてつもない大きな計画も飛び出してきた。そんな日本橋の街の明日について語ろう-といったワークショップ「話そう 日本橋のまちのこと ~トラムの似合うまちってどんなん?~」が、2015年12月7日、日本橋4丁目の日本橋筋商店街振興組合会議室で開かれ、新しい街づくりについて多くの意見が出された。

 

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明日の日本橋の街について話し合われた

 日本橋のトラムを走らせることで街に賑わいを取り戻すとともに、緑あふれる美しい街並みを作ろう-と活動を始めたばかりの「日本橋にトラムを通してにぎわいを進める会」(代表・蘇建源共立電子産業会長)が行った。
 この日は日本橋で商売をする人たちや地元町会の役員、路面電車愛好家、大阪の文化を大切にしたいと提唱する大学の先生など、日本橋が大好きな人たちばかり20余人が集まった。

 ゲストスピーカーには関西大学環境都市工学部建築学科の岡絵理子准教授が招かれて「皆さん1人ひとりが街を元気にする人たちになって、その具体策を考えて下さい」と呼びかけた。


 まず出席者を3つのグループに分けて①日本橋をどのような街にしたいのか②そのためにどうすればいいのか-について語り合って、その後それぞれのグループが意見発表した。

■街の顔はなに?

 

 グループごとに参加者のそれぞれが考える理想の街とその実現方法について意見が出された。このワークショップでは「他人の意見を決して否定せずに聞くことが大切」(岡准教授)とし、そこから新たな気づきを作り上げていくことが求められた。


 グループ単位でまとめた意見はそれぞれの代表者が発表した。
 目指す街のイメージについては「商業地として復活させるべきだし、そのためには歩いて楽しい街にする必要がある。歩くように移動できるトラムを導入するのもそのひとつの方策。コスプレをはじめ路地裏に見られるようなニッチで意外性がある街を作ることも、日本橋の魅力づくりには欠かせない」などといった指摘があった。

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グループごとに意見を出した


 さらに「路面電車が復活したら、芝生を敷き詰めた軌道を採用して街の緑化を進める。それがかつてのメイン通りの堺筋の復権につながり、沿道にはギャラリーなども設けるのはどうか」といった意見も。
 やはり一番求められたのは大阪らしい街。それは「おもしろい街であり、雑然とした猥雑な街。街の顔がはっきりと分かることも必要だし、お金を稼げる街であることも大切」と、隣りの京都や神戸とは違った発想が目を引いた。

■若者のパワーを生かす街に

 それを実現させるためにはどのようなことを行うのか。次のような意見が各グループから出された。
 「魅力がある街にするために、分かりやすくゾーニングして、街歩きのコースの設定とモデルコースの提示をする」といった、街の魅力を再発見してもらう提案が出た。それを具体化するものとして「日本橋トータルとしてのSNSを利用した情報発信を行う。同時に街の歴史を次の世代に継ぐために動画配信によって、より多くの人に見てもらう」といった案が出された。

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たくさんの街づくりの具体案が出た


 既存のパワーを利用するという意見も。
 「今までに日本橋は電子工作教室、日本橋ストリートフェスタ、アニメ村、もの作りロードなど、いろんなものを作ってきた。それに自信を持って大切に育てるのも、魅力ある街を作る次の一手になる。また、専門性の高い人との会話を楽しんでもらえる魅力を創り出すべきだ」といった、かつて専門店が得意としていた専門知識による接客を街づくりに生かそうといったグループもあった。

 また若者のパワーをもっと活用させようと「日本橋は昔から若い人がたくさん集まってくる最先端の趣味の街だった。今もそれに変わりはなく、戦前から一貫して趣味の町であり、猥雑な街である。これがこれからの街づくりのキーワードになる」といった意見も。
 また「若い人がやりたいことを実現させて、情報発信していくことが街の発展にもつながる」としたものの、ただ日本橋はテナントの家賃が高く、若い人にとっては入り難く、障壁があることも現実のようだ。

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岡絵里子准教授
 ワークショップを指導した岡准教授は「熱いシビックプランがたくさん出てきていました。これから大切なことは、今まで街に来なかった人たちを巻きこんで意見を聞くことが重要になります。次回からはそれも進めていきたい」と話していた。