新・デジタリアンの散歩道

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シャープ、胸ポケット入れて対話できるロボットモバイルフォン「ロボホン(RoBoHoN)」を発売

◆こんなに身近に感じられる二足歩行ロボットがあっただろうか。シャープが4月14日から専用公式サイトで予約販売を開始したロボットモバイルフォン「ロボホン(RoBoHoN)」は、ロボットクリエイターで東京大学先端科学技術研究センター特任准教授の高橋智隆ロボ・ガレージ代表取締役と共同開発した世界初と言われる「モバイル型ロボット電話」。ロボットと携帯電話がひとつになって、人とのインターフェイス機能を一段と高めて、電話とロボットの近未来の姿を予感させる。価格は本体が19万8000円(税別)と月額980円のココロプラン料金が必要。月産台数は5000台。

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人とのコミュニケーション機能を高めた二足歩行ロボットが携帯電話になった

 今まで二足歩行のパーソナルロボットはただ歩くだけの玩具に過ぎなかった。これにシャープが家電製品に搭載している人工知能(AI)「ココロエンジン」をベースにスマートフォン向けに開発した機能「エモバー」を搭載したことで、ロボットが人の心を持っているかのように話しかけてくれようになった。今回発売した「ロボホン(RoBoHoN)」は、その進化した二足歩行ロボット・ロボホンにモバイル通信にも対応することで電話やメール、カメラなど携帯電話の基本機能を持たせたほか、専用アプリケーションで提供されるサービスを対話しながら使用できるロボットモバイルフォンである。

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生活の色んなシーンでロボホンが人と共生する


 二足歩行ロボットはまだまだ機械趣味の人たちの玩具から抜け出ていない。誰もが夢見る鉄腕アトムに代表されるような人の心を持ったロボットにはほど遠いからである。それを家電製品のように普及するには、人とのコミュニケーション度を高めることによって、それがあたかも人であるかのように思わせ対話できることによって愛着を感じさせることが求められてきた。
 そんなロボットを目指して3年前から進められてきた「ロボホン(RoBoHoN)」の開発では、その「愛着」を最も重要なコンセプトとして進められてきた。2015年のシーテックでこのロボホンの開発が発表され試作品が展示されたが、その後人とのコミュニケーション機能など幾つかの点で試行錯誤が加えられて今回の発売されることになった。

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いつでもどこでも携帯電話として通話できる

 開発者のひとり高橋智隆さんは「ロボホン(RoBoHoN)」をジャケットの胸ポケットに入れて販売開始の記者会見に臨んだ。身長約19.5センチ、体重7h約390グラムのそれはまるでカンガルーの赤ちゃんのようでもあった。しかもポケットから抜け出して二足で歩いたりダンスをして愛嬌を振りまくこともできる。
 もちろんそれだけではない「ロボホン(RoBoHoN)」と会話することで専用アプリで提供されるサービスを利用したり、使う人の行動パターンやプロフィールなどの情報を覚えていて「おはよう起きて」「きょうは予定があるよ」などタイムリーに話しかけをしてくれるのはシャープ製スマートフォン譲りの機能である。カメラ機能を使って撮影する際には「はい!チーズ」などと声をかけてくれる。これらの機能は学習・成長し、人とより自然なコミュニケーションができるようになっていく。

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約束の時間が近づくとロボホンが教えてくれる

 「ロボホン(RoBoHoN)」に専用アプリを提供する企業は22社。そのうちの1社、大阪ガスの子会社オージス総研は大阪ガスクッキングスクールが作った料理レシピを公開するサイト・ボブとアンジーを運営するが、ロボホンでは対話機能とプロジェクター機能を使ってレシピを紹介する。将来はロボホンが「卵を割ったりして料理をすることも描いている」(同社)など、ロボットと一緒に楽しい料理ができることを考えている。
 こうしたアプリは6月末から順次ダウンロードできるようになる。いずれも月額980円のココロプランによって自由にダウンロードできるが、アプリ内課金は別途利用料が掛る。

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「お休みなさい」ロボホンがやさしく話しかけてくれる

 モバイル通信を使うと「ロボホン(RoBoHoN)」は携帯電話になる。シャープが他の通信事業者から借り受け回線などを借り受けて事業を展開するMVNO事業者として提供するモバイルフォンサービスの通話やメール、カメラのほか、プロジェクター機能も備えており、撮影したりダウンロードした写真や動画、地図などを投影することができる。まさに漫画で見るロボットそのものである。
 このモバイル通信を利用するには本体価格のほかに月額の利用料(650円から)が必要になる。また修理料金を5年間割引してくれるケアプランは月額990円からの任意加入料金が必要だ。

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左から3人目がロボットクリエイターの高橋智隆さん

 ロボットクリエイターの高橋さんは二足歩行のロボットをデザインし実際に作ってきたが、そうした数多くのロボットには不安も感じていたという。それは「人が愛着を持ってくれるか」という点であった。それを今、人が最も愛着を感じている携帯電話(スマートフォン)をロボットにしてしまうことで高橋さんは「使われるロボットへの自信を取り戻した。今後はロボットがより人の生活に入り込んであたかも実際の人と接しているかのよう気持ちで共生できるようになる」と話している。

 

■シャープは「ロボホン(RoBoHoN)」の発売に合わせてロボホン公式サイト( https://robohon.com )をオープンしておりクラウドサービス、回線、製品保証、製品の予約・販売に関したサービスを提供している。


[シャープ ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/160414-a.html





日本橋にトラムを通してにぎわいを進める会  路面電車と鉄道が相互乗り入れした福井鉄道とえちぜん鉄道の現状を視察

日本橋に次世代型路面電車のLRT(トラム)を走らせて街づくりを進めようとする「日本橋にトラムを通してにぎわいを進める会」(会長・蘇建源共立電子産業相談役)のメンバーなど20人が2016年4月3日、恐竜とそばで有名な福井市を訪ねて、3月27日から路面電車福井鉄道(本社・福井県越前市)がえちぜん鉄道(本社・福井市)と相互乗り入れを始めている様子を視察した。事業者が違う鉄道と路面電車での路線乗り入れは全国で初めて。

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2014年から福井鉄道で運行を開始ている735形車両(福井駅

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鷲塚針原駅に停車中の福井鉄道の新型路面電車

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ki-boの愛称で親しまれている福井鉄道の新型路面電車

 日本橋にトラムを通してにぎわいを進める会は2020年までに日本橋筋を通る難波~天王寺間のトラムの具体化を目指して運動を進めている。路面電車と街づくりに詳しい講師を招いての勉強会や路面電車が走る全国の街づくりの実例の視察などを行っている。

 今回は福井の路面電車まちづくりを考える「ROBAの会」の協力で、福井市内中心部を走る路面電車と郊外から市内に入る鉄道が相互乗り入れをして、街の発展につなげようとしている様子を見学した。

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相互乗り入れをした福井鉄道えちぜん鉄道の路線図

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車内もカラフルな福井鉄道路面電車

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無人駅での乗り方も丁寧に説明している

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新型路面電車の運転席 外の様子は液晶ディスプレイに表示されている


 福井市内では7年後の北陸新幹線開業に向けて駅前再開発が進んでいる。
 一行はその福井駅前から、福井鉄道えちぜん鉄道共通1日フリーきっぷ(大人1400円)を使って福井鉄道路面電車に乗車。車窓から見える商店などが建ち並ぶ様子を確認していた。福井駅ではドイツ・シュトゥットガルトから土佐電鉄(現・とさでん交通)が譲り受けたものを最近、福井鉄道が購入して改良した黄色のシャープな車両が目を引いていた。

 同市内の田原町で勝山市坂井市へ向かうえちぜん鉄道の路線に乗り換えた。乗ったのは福井鉄道の黄色のおしゃれな新型車両。線路は単線で窓の外は住宅が多くなり、田畑も見られるのどかな風景が広がっていた。

 車内はイエローとグレーのシート、福井名産の笏谷石に見られる青色をイメージした色の床面などおしゃれ感が漂って、乗る人たちを楽しい気分にしてくれている。

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路面電車のホームに着いたえちぜん鉄道の車両から昇降段が出る

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福井鉄道路面電車の出入口から見たえちぜん鉄道のホーム側

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ホームの高さの違いが分かる


 路面電車福井鉄道えちぜん鉄道が乗り入れる駅では、ホームの高さがそれぞれ違う。路面電車福井鉄道は低いホームを、えちぜん鉄道は高いホームを利用している。従来、路面電車だけが走行していた市街地では、えちぜん鉄道の利用者は車両から出てくる収納式の昇降段を利用して乗り降りしていた。

 福井鉄道福井県内でバス、鉄道を運営しており、福井市内と越前武生を結ぶ路面電車も運行する。福井駅で目にした黄色のシャープな車両は2014年から運行を開始ている735形車両である。えちぜん鉄道福井県福井市から勝山市坂井市を結ぶ鉄道路線を運営している。福井市勝山市などが出資する第三セクター方式の鉄道事業者である。

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再開発が進む福井駅

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福井駅前には高層ビルもオープンを控えていた

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北陸新幹線の開業を目指しての建設も進められている


 このえちぜん鉄道の車掌はアテンダントと呼ばれる女性が担当する。現在12人が乗務しており、目下研修中の新人が加わると13人になるという。第三セクター鉄道の多くがそうであるように、沿線の観光地の各駅にはレンタサイクルを用意するなど、ここも乗客獲得に新たな工夫と取り組みを見せている。

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越前鉄道の車両 福井市内と勝山市坂井市を結ぶ

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 福井鉄道えちぜん鉄道の相互乗り入れは郊外と市街地の結びつきをより強めて街づくりを発展させることになる。また開通が待たれる北陸新幹線でやって来る人たちを、福井駅から県内各地の観光地へと運ぶ重要な足となることはまちがいなさそうだ。

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駅舎も木を生かして新しく建てられた (田原町駅


日本橋にトラムを通してにぎわいを進める会 路面電車と鉄道が相互乗り入れした福井鉄道とえちぜん鉄道の現状を視察





第12回日本橋ストリートフェスタ 2016  去年と同じ25万人がでんでんタウンにやってきた  日本最大のコスプレの祭り  子どももの作り広場ではモノ作りの町をアピール

◆最先端の趣味の街とモノづくりの街をアピールする年に一度の日本橋でんでんタウンの祭り「第12回日本橋ストリートフェスタ 2016」が2016年3月20日、でんでんタウンのメイン道路の堺筋オタロードを歩行者に開放して行われ、主催者発表で去年と同じ約25万人が詰めかけて、身動きが取れないところもありました。

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でんでんタウンのメイン通り堺筋は身動きが取れない

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日本橋総合案内所前も早くからたくさんの人たちで賑わっていた

 

 年々、沢山のコスプレイヤーとそれを写真に収めたりする見物人たちであふれかえり、今では日本最大のコスプレイヤーの祭りとも言われるまでになっています。自慢のコスチュームを身にまとって路上パフォーマンスをしたり、アマチュアカメラマンの方列にポーズを取るなどの光景があちらこちらで見られました。

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コスプレイヤーの撮影会にどこも人垣でいっぱい

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人気アニメのコスチュームでパレードに参加

 

 駐車場を開放した特設会場には、今なを人気漫画のキャラクターであるマジンガーZの巨大像が建てられ最その隣のステージで行われたキャラクターショーに、まるで幼児のように歓声を上げていたのは、いずれも趣味の街の主役である20、30代の男性たち。

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キャラクターショーでは若者たちが食い入るように見つめていた

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メイドカフェの人気者たちも勢揃いした

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パフォーマンスを見せる人も

 

 でんでんタウンに隣接する小学校の体育館には「子ども工作広場」が設けられていました。ゴム動力で動かすプロペラカーを作って、決められた場所にピタリと止める競技会やロボットのプログラミング教室や木工自由工作も行われ、親子で取り組む姿が見られました。

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親子で木工工作も人気

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プロペラカ―の競技会には行列が出来ていた

 会場の一角には専門学校生が作ったたこ焼き発射ロボットの実演やミニ四駆のレースなどもあって、子供たちは楽しい時間を過ごしていました。

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溝畑宏大阪観光局長らも開会式でパフォーマンス

 このフェスタの開会式で鍵田剛大阪市副市長が開会宣言したほか、溝畑宏大阪観光局長は「日本橋を熱くしようぜ!」と呼びかけました。また大阪市浪速区の玉置賢司区長は「国内有数のイベントに成長し、大阪・ミナミ活性化の原動力にもなっている」などとあいさつしました。






第12回日本橋ストリートフェスタ  世界のミンナとキズナを深めよう 人気アニメ「K」とコラボ でんでんタウンで3月20日に開催

◆大阪・日本橋でんでんタウンでは今年も、3月20日の春分の日に「日本橋ストリートフェスタ」が開かれます。今回で12回目になり。毎回20万人を超すたくさんの人たちで賑わっています。

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第12回日本橋ストリートフェスタの公式ガイドブック


 何と言っても大きな話題を集めているのは<キズナ>をテーマにした人気アニメの「K RETURN OF KINGS」とのコラボ。公式ガイドブックやポスターには描き下ろしのイラストが踊っています。

 7人組の覆面作家集団「GoRA」が原作で、アニメ制作は大阪で行われているとのこと。

 公式ガイドブックの表紙で「俺たちとミンナで日本橋とのキズナ深めようぜ!」と呼びかける登場人物たち。大阪から世界へ発信されているアニメにふさわしく、世界から買い物客が集まる日本橋をアピールしてくれています。

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日本橋ストリートフェスタを告知する日本橋総合案内所


 街歩きのガイドをしてくれる日本橋総合案内所をはじめ街の至る所にはK RETURN OF KINGS」の登場人物たちが日本橋に立つポスターがあふれています。

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コスプレに参加するにはリストバンドが必要


 今回はまた日本橋オタロードに隣接する駐車場・タイムズ大阪難波の敷地が「マジンガースクエア」として開放されてイベントブースが設けられる。主催者は「ストリートフェスタの拡大感を味わったもらえます」と話しています。



パナソニック、ロボット掃除機で2桁伸長ねらう   「RULO = ルーロ」新機種4月に発売   掃除機能を向上

◆自分の住まいの掃除をするのは週に1、2回以下という共働き女性が65%もいる。都市生活が2012年に調査したものだ。そんな生活スタイルの変化に合わせて掃除ができるロボット掃除機をパナソニックが4月20日から発売する。掃除をしたい日時と掃除エリアなどをリモコン設定しておくと、1週間分の曜日、時間、さらには運転モードの予約ができ、家人が留守でも自動的に掃除をしてくれる。しかもゴミの量に合わせてパワーと走行をコントロールしたり、床面を見分けて掃除するなどのセンサー制御も充実させ、掃除の結果を音声で報告してくれる。店頭想定価格は10万円前後。

 

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三角形の形が部屋の隅のゴミを取りやすくする

 発売するのは「RULO = ルーロ」(MC-RS200)。独自の三角形の本体とハウスダスト発見センサーを昨年発売の従来機種のMC-RS1から継承。新たに「床面検知センサー」を搭載してゴミの量のほかフローリングやじゅうたんなどの床面を見分けられるようにして、きめ細かい掃除ができるようにした。

 「お掃除サポートリモコン」では、新たに1週間分の掃除予約ができるようにした。従来のキャにスター掃除機のように部屋中を人が付いて回る必要がなく、設定した日時に指定した場所を自動で掃除をしてくれる。

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床面の状態を検知してパワーブラシの回転数を自動制御する

 

 ロボット掃除機は「共働き世帯には誰もいない時に掃除を済ませてくれて時間を有効に使えるし、シニア世帯には身体への負担を軽減してくれる」などの良さがある。そうした点が注目されて従来型のキャニスター掃除機に代わってメインの掃除機になる傾向も強まっている。

 

 そんなロボット掃除機も今までは利用者が最も不便を感じていたのは集めたゴミの処理だった。各社改善を図っているが「RULO = ルーロ」(MC-RS200)は、集じんボックスの大きさは従来のままで容積を1.5倍に、さらにツイン気流でゴミを圧縮させることで集じん量を約5倍にした。同時に片手でゴミ捨てができるようにして、手入れを簡略化させている。

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全国2000拠点の店頭で「RULO」を実際に動かせてアピールすると
話すパナソニック・小杉彩担当課長

 

 パナソニックは2015年3月にRULOの前機種MC-RS1を発売。ロボット掃除機市場に参入したが「当初計画の1.4倍に当たる約7万台を販売」(同社)している。
 予想を上回る販売台数は、部屋の隅のゴミも取り易い三角形の本体形状をアピールした販売店のセールストークが功を奏し「業界シェアも一気に20%を確保し、ルンバのiRobot社に次いで業界第2位を確保した」(同)。今後も台数ベースで2桁成長を目指すと強気である。


パナソニック ロボット掃除機 「RULO = ルーロ」新機種4月に発売

 



日本橋を創った男たち  蘇建源「街のコンシェルジュ」

◆街を活性化させようと2005年から始まった「日本橋ストリートフェスタ」は共立電子産業の蘇建源会長らが先頭に立って、警察や府市へ長年にわたって働きかけたことによって実現したものだった。第1回目の同ストリートフェスタには、ほぼ半日で街には約20万人もの人たちが集まった。日本橋が街を挙げて祭りを行う-といったニュースはたちどころに全国へ伝わり、各地から日本橋ファンが駆けつけたのであった。


 その後も毎回20万人を超す人たちが日本橋に集まってくる、大阪市内でも屈指のイベントにまで日本橋ストリートフェスタは成長している。ところがそれを境に日本橋はアニメ、コスプレ、ゲームなどポップカルチャー色の強い街へと急速に変化していく。
 1950(昭和30)年代から電気製品が安く買える街として全国へその名を轟かせた日本橋電気街だったが、街を取り巻く環境は大きく変化していることは誰の目にも明らかだった。
 街の人たちも「これからは電気・家電の購入を目的にした日本橋商店街への来街者が減少し、商店街が衰退していくのではないか」と危機感を抱き始めていた。

 そうした街の変化とともに始まったのが街の美化運動であった。日本橋筋商店街振興組合が中心となって2009(平成21)年9月1日から施行している「環境美化条例」は、その運動を具体化させる街の取り決めで、街が生き残るもうひとつの具体的手段であった。

 その条例は歩道の清掃・ゴミの処理、自転車の通行・駐輪、広告・展示、商品展示、店舗の宣伝音響、動物の餌やり・糞尿処理、防犯・ホームレス対策といった7項目にわたって具体的な申し合わせをしている。

 清掃・ゴミの処理についての取り決めでは「タバコ、飲料缶、食料容器、紙くず、チュウインガムなどの散乱防止について、来街者の意識の啓発に努める」として、環境美化の日を制定して組合員共同で清掃作業と啓蒙活動を行うといった具合である。


 全国的に問題視されている自転車問題については、歩道での自転車通行を認めているものの「アーケード(歩道)での通行は歩行者にとって危険であり、自転車利用者に自転車を降りて歩行するよう促さなければならい」とするなど、誰もが安心・安全に買い物ができる環境作りを呼びかけている。

 また商品展示についても「アーケード通行の妨げになるはみ出し展示はしてはいけない」として、商品や立看板、陳列ケースなどの展示を禁止している。はみ出し展示を行う店舗には「やめるように勧告し店舗はこれに従わなければならない」と強制権を持たせている。

 「環境美化条例」が施行された頃、蘇会長は電子工作教室の開設を提案して次世代の日本橋ファンを育てたり、ロボットといった新しい技術力を学び人脈を作ろうとロボット連絡会といった新しい組織を作っていったのは、そうした危機意識を払拭し、街の活性化をねらうインフラ作りであった。
 サテライトスタジオを日本橋総合案内所に併設してDJを通じて若い来街者への情報発信をねらったインフラ造りであった。
 蘇会長は「街をコンシェルジュ化して来街者に楽しんでもらうのは、この時よりもずっと以前から描いていたもので、それが今までにひとつずつ実現している」と話している。

 

 

ワコム Bamboo Spark with tablet sleeve CDS600PG

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タブレット端末、過半数が毎日使用  大半が購入に満足  GfK Japanが利用実態調査

タブレット端末所有者の半数以上がタブレットを毎日利用していることがジーエフケー マーケティングサービス ジャパン(GfK Japan、東京都中野区、藤林義晃社長)の調べで分かった。タブレット端末所有者の51%が毎日利用しており、スマートフォンを持たない人に限ると63%が毎日使っており、使用頻度が高く、全体の約8割りがタブレット端末に満足している結果が出ている。

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 調査は2015年9月18日から28日にかけてインターネットで、18歳から69歳の男女、約6700人 (うちタブレット端末所有者は約1400人)を対象に利用頻度と満足度、購入意向について質問した。

 タブレット端末の2015年の個人向け販売台数は、前年を8%上回り約480万台に達すると見込まれている。携帯電話専門店では15年1月から11月の11ヶ月間の販売台数が前年比55%増を記録しており、タブレット販売全体をけん引している。これは端末や通信費の割引キャンペーンが功を奏して新規のユーザーを獲得したからと見られている。

 利用頻度では、最も多かったのが「毎日使用する」で、51%を占めている。「週2~3回程度」が17%、「週1回程度」が10%と、総じて定期的に使用している様子が伺えた。その一方で「ほとんど使用していない」というのも17%あった。

 タブレット端末所有者のうち、スマートフォンの非所有率は31%であったが、スマートフォン非所有者に限ると「毎日使用する」とした割合は63%で、使用頻度が上がることが分かった。

 

■8割りが満足

 

 タブレット端末の「価格」「軽さ」「画面サイズ」「操作のレスポンス」の満足度は、いずれの項目でも高い満足度が見られ、「購入前の期待通りに使えている」と答えたのは83%になった。

 とりわけ「画面サイズ」では90%が「満足 」しており、使用用途に合わせて適切な画面サイズを選択していることが分かる。
 「軽さ」については76%が「満足」とし、これまで画面サイズの大きいモデルは「文字が読みやすい」など一定の評価を得ながらも「重たい」と指摘する声も多かった。しかし軽量化が進み、持ち運びやすくなったことで、この不満も解消されつつあるようだ。

 

■買い替え・買い増し意向は不明瞭


 タブレット端末使用者の買い替えや買い増しへの意向は、使用頻度や満足度の高さからすると、それほど高くないとも言える。
 「1年以内に端末を買い替えるか買い増す」のは15%で、「使用端末が壊れたら購入を検討する」は27%にとどまっている。調査を行ったGfK Japanによると「機能や価格面の不満が少ないことを考えると、今後の市場拡大のためには使い方の提案をしていくことが需要をを高めることになる」と指摘している。

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 新規ユーザーの獲得も欠かせず、調査によるとタブレット端末の非所有者は79%いたが、そのうちの約4分の1は購入意向があることも明らかになっている。こうしたことから使い方のノウハウを提供するなどしてタブレット端末の魅力を幅広くアピールしていく必要があるようだ。




パナソニック、京都大学と非接触で心拍間隔を計測する生体情報センシング技術の開発に成功

パナソニック京都大学のCenter of INNOVATION(COI)と共同で、離れたところから非接触で高精度に心拍数と心拍間隔を計測できる「生体情報センシング技術」を研究・開発した。高感度なスペクトラム拡散ミリ波レーダー技術と特徴点ベースの心拍推定アルゴリズムで、心電計相当の精度で心拍間隔をリアルタイムな計測ができる。これによって測定時にストレスを感じることなく、カジュアルな生体情報センシングを可能にし、日常の健康管理や高齢者の見守りなどをシステム化して、カジュアルセンシングの普及につながるものとみられている。

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 非接触型の心拍間隔計測の生体情報センシングは、パナソニックの「スペクトラム拡散ミリ波レーダー」の技術を応用した。高感度なスペクトラム拡散レーダーをセンサーとして用いて、独自の信号処理技術を組み合わせて、心拍計測に影響を与えるノイズを除去して心電計と同程度の高感度な心拍/心拍間隔測定を実現した。

 その結果、呼吸や心臓の鼓動に応じて動く人体の表面から、わずかな動きを高感度に捉えることを可能にした。同時に1台のレーダーで複数の人の動きの同時計測ができるようにしている。
 生活習慣病の予防や日々の健康増進のために生体情報を常時モニターし、健康を管理したいという人たちが増えている。この技術はそうしたニーズに応えるもの。

 今までモニターするために必要だったセンサーシステムは、小型であっても身体に接触・装着することから、測定時にはかなりのストレスを感じさせていた。今回の技術はカジュアルな生体情報センシングによって、ストレスフリーのセンシングを可能にした。
 電波やカメラを利用した非接触の生体センシングも提案されている。ところが接触型に比べると精度に課題があった。

 計測されるレーダー信号の中には、心臓の鼓動、呼吸、体動などによる信号が含まれる。京都大学はレーダー信号の中の心拍信号について位相特徴点を抽出し、特徴点の時系列パターンから心拍間隔を推定する独自のアルゴリズムを開発。
 それによってレーダー信号から呼吸信号、心拍信号を分離して、平均心拍数だけでなく、リアルイムで心拍間隔まで測定することを可能にした。
 ミリ波レーダーの電波は衣服等を透過するため、着衣時や就寝時に関わらず、呼吸や心拍を常時モニターすることができる。

■日常生活を見守るカジュアルセンシングシステム

 今回、心拍間隔をも正確に測定することが可能になったため、日常生活や仕事の作業を妨げることなく、心拍間隔変動から自律神経の状態を推定することも可能になったことで、家庭やオフィスでごく普通に活動しながら、健康状態やストレス状態などを測定できるようになった。

 パナソニック京都大学では、今後、試作機を用いた実証実験を通じて、実生活状態での生体情報のカジュアルセンシングを実現し、得られた生体情報を用いた健康管理、アドバイスなどのシステムや応用サービスに仕上げていきたいとしている。




蘇建源(共立電子産業会長)インタビュー 「次の世代を育てて顧客拡大へ」

日本橋の新たなファンを育てようと始まった日本橋電子・ロボット工作教室。そのきっかけを作ったのは共立電子産業の蘇建源会長であったことは、すでにふれた通りである。今まで数多くの小中学生に電子工作の楽しさを教えながら、電気の街の魅力も教えてきた。そこで学んだ子どもたちの中には、電気系の学校や企業へ進んだケースも少なくはない。手作りロボットを競い合うロボカップの世界大会で優勝する子どもたちもいた。その彼らがさらに年下の子どもたちの電子工作やロボット作りを指導するようになっているのだから、当初のねらいは少しずつ実現しつつある。

 

 電子工作教室やロボット教室は次世代の日本橋ファンを育てようと、今から15年ほど前に始まった。
 提案者の蘇会長がその成果に「手応えを感じている」というのも頷けるし、次の日本橋を支えるユーザーたちを育てる企ての「答えは出始めている」(蘇会長)のも、その通りである。
 そうした教室を支えてきたのは会社勤めの第一線を退いた、アマチュア無線のマニアや電気好きの人たちでもあった。無報酬で子どもたちの指導や教室開催の準備に携わってきた日本橋が大好きな人ばかりなのである。

 

 日本橋電気街の表通りの堺筋日本橋筋)からは家電専門店が姿を決してしまった。ところが逆にパーツショップは、東京などから進出する店舗が見られるなど、衰えるどころかエレクトロニクスモノづくりの街日本橋を支える重要な存在となっている。
 日本橋筋から一筋東へ入った通りが今「ものづくりロード」と呼ばれてパーツショップが集中している。エレクトロニクス系のモノづくりを楽しむ人たちにとっては、ニーズを満たしてくれる欠かせない街となっているのだ。

 彼らにとって電子パーツは欠かせない。たとえば電源を作ろうと思えばトランスが必要になる。アマチュアがそうしたものを容易に手することができるのは日本橋しかないのである。そうした商品を身近に供給し続けてきた日本橋の電気街は今、モノづくりパーツの街へと生まれ変わりつつある。

 

 日本橋は家電の街になる以前から部品の街であった。昭和30年代に家電の街に変貌する以前、戦後の復興期にまず1店2店と軒が並び始めたのはラジオパーツをはじめとする部品店であった。電気街日本橋は部品(パーツ)の街として発展し、今日の姿を作ってきたと言ってもいい。

 その中でどちらかと言えば後発の共立電子産業は、ジャンク品の販売からスタートして、ICからマイコン、パソコンへと扱い商品を拡大して日本を代表する電子部品専門販売店にまで成長している。

 安いものを買って完成度の高いものを作ろうという四畳半メーカーやベンチャー企業の経営者や技術者たちは、そうした日本橋のパーツショップの売り場に潜むジャンクなどの商品から自社製品のアイディアを得て、日本を代表する企業へと成長して企業も少なくはない。

 

 

蘇建源インタビュー(共立電子産業会長) 「小さなユーザーを大切に」

◆大阪・日本橋の電子部品販売会社・共立電子産業は、電気製造に携わる人たちにとっては多かれ少なかれ欠かせない存在である。同社で部品を購入して、製品開発をする人は少なくはないし、日本橋で部品探しが高じて事業を大成させた人もいる。取引メーカーからCPUの勉強を求められて、日本橋へ足を運び部品を学んでビジネスの元を築いた人もいる。そのニーズを満たしてきたのが共立電子産業であった。そして次の段階として新しいユーザーを開拓し、育てることを目的に始めたのが子どもたちをターゲットにした電子工作教室であった。

 

 共立電子産業のユーザーの中には、日本橋を足がかりにして株式上場を果たしたり、規模を拡大していった企業がたくさん存在する。それも同社がジャンク品をはじめ扱いジャンルを特化しない数多くの電子部品を提供し、客のニーズを満たしてきたからである。

 ジャンク品販売に見られるように共立電子産業は、部品一点ずつに付加価値を付けて販売するノウハウを確立することで利益率を高め経営の安定化の礎を築いてきた。それによって利益率を高めてきたのだ。

 企業やそこに勤める人たちだけではなく、子どもたちも同社にとっては立派なユーザーである。その小さなユーザーを育てることで将来のビックユーザーとして日本橋のファンになってもらおう、と同社が日本橋で始めたのが電子工作教室だった。

 今では街の事業として電子工作教室だけではなくロボット教室も継続されている。

 そこに集まってくる子どもたちは、教室で自分が使う部品を日本橋にある部品店で買い集めるところから始める。

 電子部品の単価は低いから全部買い揃えても数十円といった金額である。店頭では店員が子どもたちの質問に、まるで高額な最新機器を販売するかのように分かりやすく丁寧に説明をして応えている。

 「この姿勢が将来、子どもたちが店を助けてくれることになる」と蘇会長は信じて疑わない。

 日本橋に多くの部品店が存続しているのも、そうした1人ひとりのユーザーとのつながりを、多くの店が大切にしてきたことがあるからだ。

 共立電子産業は創業時のジャンク品販売から、正規部品へと扱いをシフトしてきた。そうした中、部品流通はメーカーとの直接取引から代理店を介したものへと変化する。にも関わらず大きな部品メーカーが直接、同社と取引を続けるケースがあるのは、その売り場での接客姿勢に共鳴する業界人がいるからである。

 蘇会長が提案して始めた電子工作教室やロボット教室も、そこで学ぶ子どもたちが日本橋を支えるファンになることをねらったものなのだ。

 

総員玉砕せよ! (講談社文庫)

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