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WOWOW  11月10日に初の4Kドラマ「チキンレース」を無料放送  

明日午後9時からWOWOWプライムで、フルハイビジョンの4倍という高画質な4Kで制作された寺尾聡と岡田将生の共演によるヒューマンドラマ「チキンレース」が放送される。初の4K制作の長編ドラマで、テレビ放送ではハイビジョン放送になるが、ヨドバシカメラなどの店頭では今、4Kダイジェスト版が放映されているという。

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ドラマの主演の寺尾聡(左)と岡田将生。45年の眠りから覚めて
青春を取り戻す旅に出る


2013年11月5日、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田・THEATRE5で完成試写会が開かれ、監督の若松節朗さん、カメラマンの蔦井孝洋さん、ビデオエンジニア(VE)のさとうまなぶさんらが出席してトークショーが行われた。

ドラマは両者が障害物に向かって衝突寸前まで車を走らせ、先にハンドルを切ったり停止したほうを臆病者(チキン)とするレースで、車ごと海に落ちて45年間眠り続けていた飛田(寺尾)が、27歳の看護師神谷(岡田)奇跡的によって目覚めさせられたことで、事故当時の19歳ままで停止した青春を取り戻していくといった内容。
ほかに松坂慶子鹿賀丈史松坂桃李有村架純らが出演している。

30年の昏睡から目覚めた患者と、彼を何救おうとする医師の闘病生活を描いたのかフィッくション映画「レナードの朝」を思わせたが、こちらは笑いも盛り込んだ青春ドラマで若松監督は残りの人生が不安な高齢者と一歩踏み出せない若者の友情とともに「生きることの楽しさを描いた」と話している。

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若松監督(右から2人目)らによるトークショー

4K制作にあたってはソニーの4K対応カメラ「PMW-F55」が使用された。
カメラマンの蔦井さんは「もう元には戻れない。これからの映画は4Kであろう」と4Kの素晴らしさを表現した。「たとえば寺尾さんの皺や岡田さんのピカピカとした肌、松坂(慶)さんの化粧、陶器の質感、生花の新鮮さなど、すべてが違った」

実際には劇場でスクリーンに投射された映像は4K高画質の感動は低かった。通常のフィルム撮影された映画と変わりないように見えたからだ。
蔦井さんによると「モニターテレビで見ると、その違いははっきりとする」というが、現状では通常それを見ることはできない。

総務省は4Kの本放送を16年に始めることを目指していたが、2年ほど前倒して、14年7月にブラジルであるサッカーワールドカップ(W杯)決勝トーナメントに合わせるという。しかし「4Kカメラの場合、ピント合わせが難しく、スポーツ番組よりもドラマに向いている」(蔦井さん) よあでもある。

今回のドラマの製作費は明らかにされなかったが、データ量が従来のハイビジョン番組の4倍ということから編集作業に倍以上の手間と費用がかかったようだ。

WOWOWでは「チキンレース」を無料放送イベント「TOUCH! WOWOW 2013」の枠内で放送するため、無料で視聴することができる。今回制作し4Kドラマの画質への評価は業界からも高いため、今後の制作への自信を強めており、さらなる高画質の8Kへの意欲も見せた。


[チキンレース WOWOWダイジェスト版]
http://www.youtube.com/watch?v=6zJ6B1Z6Pxo