新・デジタリアンの散歩道

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日本橋を創った男たち  蘇建源「街のコンシェルジュ」

◆街を活性化させようと2005年から始まった「日本橋ストリートフェスタ」は共立電子産業の蘇建源会長らが先頭に立って、警察や府市へ長年にわたって働きかけたことによって実現したものだった。第1回目の同ストリートフェスタには、ほぼ半日で街には約20万人もの人たちが集まった。日本橋が街を挙げて祭りを行う-といったニュースはたちどころに全国へ伝わり、各地から日本橋ファンが駆けつけたのであった。


 その後も毎回20万人を超す人たちが日本橋に集まってくる、大阪市内でも屈指のイベントにまで日本橋ストリートフェスタは成長している。ところがそれを境に日本橋はアニメ、コスプレ、ゲームなどポップカルチャー色の強い街へと急速に変化していく。
 1950(昭和30)年代から電気製品が安く買える街として全国へその名を轟かせた日本橋電気街だったが、街を取り巻く環境は大きく変化していることは誰の目にも明らかだった。
 街の人たちも「これからは電気・家電の購入を目的にした日本橋商店街への来街者が減少し、商店街が衰退していくのではないか」と危機感を抱き始めていた。

 そうした街の変化とともに始まったのが街の美化運動であった。日本橋筋商店街振興組合が中心となって2009(平成21)年9月1日から施行している「環境美化条例」は、その運動を具体化させる街の取り決めで、街が生き残るもうひとつの具体的手段であった。

 その条例は歩道の清掃・ゴミの処理、自転車の通行・駐輪、広告・展示、商品展示、店舗の宣伝音響、動物の餌やり・糞尿処理、防犯・ホームレス対策といった7項目にわたって具体的な申し合わせをしている。

 清掃・ゴミの処理についての取り決めでは「タバコ、飲料缶、食料容器、紙くず、チュウインガムなどの散乱防止について、来街者の意識の啓発に努める」として、環境美化の日を制定して組合員共同で清掃作業と啓蒙活動を行うといった具合である。


 全国的に問題視されている自転車問題については、歩道での自転車通行を認めているものの「アーケード(歩道)での通行は歩行者にとって危険であり、自転車利用者に自転車を降りて歩行するよう促さなければならい」とするなど、誰もが安心・安全に買い物ができる環境作りを呼びかけている。

 また商品展示についても「アーケード通行の妨げになるはみ出し展示はしてはいけない」として、商品や立看板、陳列ケースなどの展示を禁止している。はみ出し展示を行う店舗には「やめるように勧告し店舗はこれに従わなければならない」と強制権を持たせている。

 「環境美化条例」が施行された頃、蘇会長は電子工作教室の開設を提案して次世代の日本橋ファンを育てたり、ロボットといった新しい技術力を学び人脈を作ろうとロボット連絡会といった新しい組織を作っていったのは、そうした危機意識を払拭し、街の活性化をねらうインフラ作りであった。
 サテライトスタジオを日本橋総合案内所に併設してDJを通じて若い来街者への情報発信をねらったインフラ造りであった。
 蘇会長は「街をコンシェルジュ化して来街者に楽しんでもらうのは、この時よりもずっと以前から描いていたもので、それが今までにひとつずつ実現している」と話している。

 

 

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