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シャープ、胸ポケット入れて対話できるロボットモバイルフォン「ロボホン(RoBoHoN)」を発売

◆こんなに身近に感じられる二足歩行ロボットがあっただろうか。シャープが4月14日から専用公式サイトで予約販売を開始したロボットモバイルフォン「ロボホン(RoBoHoN)」は、ロボットクリエイターで東京大学先端科学技術研究センター特任准教授の高橋智隆ロボ・ガレージ代表取締役と共同開発した世界初と言われる「モバイル型ロボット電話」。ロボットと携帯電話がひとつになって、人とのインターフェイス機能を一段と高めて、電話とロボットの近未来の姿を予感させる。価格は本体が19万8000円(税別)と月額980円のココロプラン料金が必要。月産台数は5000台。

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人とのコミュニケーション機能を高めた二足歩行ロボットが携帯電話になった

 今まで二足歩行のパーソナルロボットはただ歩くだけの玩具に過ぎなかった。これにシャープが家電製品に搭載している人工知能(AI)「ココロエンジン」をベースにスマートフォン向けに開発した機能「エモバー」を搭載したことで、ロボットが人の心を持っているかのように話しかけてくれようになった。今回発売した「ロボホン(RoBoHoN)」は、その進化した二足歩行ロボット・ロボホンにモバイル通信にも対応することで電話やメール、カメラなど携帯電話の基本機能を持たせたほか、専用アプリケーションで提供されるサービスを対話しながら使用できるロボットモバイルフォンである。

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生活の色んなシーンでロボホンが人と共生する


 二足歩行ロボットはまだまだ機械趣味の人たちの玩具から抜け出ていない。誰もが夢見る鉄腕アトムに代表されるような人の心を持ったロボットにはほど遠いからである。それを家電製品のように普及するには、人とのコミュニケーション度を高めることによって、それがあたかも人であるかのように思わせ対話できることによって愛着を感じさせることが求められてきた。
 そんなロボットを目指して3年前から進められてきた「ロボホン(RoBoHoN)」の開発では、その「愛着」を最も重要なコンセプトとして進められてきた。2015年のシーテックでこのロボホンの開発が発表され試作品が展示されたが、その後人とのコミュニケーション機能など幾つかの点で試行錯誤が加えられて今回の発売されることになった。

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いつでもどこでも携帯電話として通話できる

 開発者のひとり高橋智隆さんは「ロボホン(RoBoHoN)」をジャケットの胸ポケットに入れて販売開始の記者会見に臨んだ。身長約19.5センチ、体重7h約390グラムのそれはまるでカンガルーの赤ちゃんのようでもあった。しかもポケットから抜け出して二足で歩いたりダンスをして愛嬌を振りまくこともできる。
 もちろんそれだけではない「ロボホン(RoBoHoN)」と会話することで専用アプリで提供されるサービスを利用したり、使う人の行動パターンやプロフィールなどの情報を覚えていて「おはよう起きて」「きょうは予定があるよ」などタイムリーに話しかけをしてくれるのはシャープ製スマートフォン譲りの機能である。カメラ機能を使って撮影する際には「はい!チーズ」などと声をかけてくれる。これらの機能は学習・成長し、人とより自然なコミュニケーションができるようになっていく。

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約束の時間が近づくとロボホンが教えてくれる

 「ロボホン(RoBoHoN)」に専用アプリを提供する企業は22社。そのうちの1社、大阪ガスの子会社オージス総研は大阪ガスクッキングスクールが作った料理レシピを公開するサイト・ボブとアンジーを運営するが、ロボホンでは対話機能とプロジェクター機能を使ってレシピを紹介する。将来はロボホンが「卵を割ったりして料理をすることも描いている」(同社)など、ロボットと一緒に楽しい料理ができることを考えている。
 こうしたアプリは6月末から順次ダウンロードできるようになる。いずれも月額980円のココロプランによって自由にダウンロードできるが、アプリ内課金は別途利用料が掛る。

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「お休みなさい」ロボホンがやさしく話しかけてくれる

 モバイル通信を使うと「ロボホン(RoBoHoN)」は携帯電話になる。シャープが他の通信事業者から借り受け回線などを借り受けて事業を展開するMVNO事業者として提供するモバイルフォンサービスの通話やメール、カメラのほか、プロジェクター機能も備えており、撮影したりダウンロードした写真や動画、地図などを投影することができる。まさに漫画で見るロボットそのものである。
 このモバイル通信を利用するには本体価格のほかに月額の利用料(650円から)が必要になる。また修理料金を5年間割引してくれるケアプランは月額990円からの任意加入料金が必要だ。

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左から3人目がロボットクリエイターの高橋智隆さん

 ロボットクリエイターの高橋さんは二足歩行のロボットをデザインし実際に作ってきたが、そうした数多くのロボットには不安も感じていたという。それは「人が愛着を持ってくれるか」という点であった。それを今、人が最も愛着を感じている携帯電話(スマートフォン)をロボットにしてしまうことで高橋さんは「使われるロボットへの自信を取り戻した。今後はロボットがより人の生活に入り込んであたかも実際の人と接しているかのよう気持ちで共生できるようになる」と話している。

 

■シャープは「ロボホン(RoBoHoN)」の発売に合わせてロボホン公式サイト( https://robohon.com )をオープンしておりクラウドサービス、回線、製品保証、製品の予約・販売に関したサービスを提供している。


[シャープ ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/160414-a.html