新・デジタリアンの散歩道

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大阪・日本橋    トラム導入の経済効果で研修会  大阪市立大学長尾謙吉教授ゼミの学生が調査報告

◆誰でも気軽に乗ることが出来て、外の景色を楽しめるエレベーターのようにトラムは地面を行く「水平エレベーター」である。大阪・日本橋阪堺線を難波まで延伸させて日本橋にトラムを走らせようとようと提案している「日本橋にトラムを通して賑わいを進める会」(蘇建源代表)が、2016年1月14日、大阪市浪速区日本橋筋商店街振興組合の会議室で開いたトラム研修会「LRT(トラム)とまちづくり 大阪ミナミの未来」で、大阪市立大学経済学部の長尾謙吉教授のゼミ学生9人がトラム導入に伴う経済効果を発表した。トラムを水平エレベーターにたとえる彼らは、トラムをゆっくりと街歩きを楽しむ新交通システムとして、観光客から1日ひとり11円以上の経済効果が必要といった日本橋トラム計画の課題も指摘した。

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大阪・日本橋へのトラム導入の経済効果を説明する大阪市立大学の学生たち 

 自動車中心の社会から脱却したいという風潮が高まり、欧米を中心に注目されているトラムとは一体どういったものなのかー。学生たちはそんなところから話を始めた。

 トラムは他の交通機関と違って誰もが利用しやすい交通機関であり、他の交通機関との乗り換えの連続性があるのも特徴。国内で唯一トラムが走る街である富山市でもトラムによる効果などについて彼らは現地調査を行っている。
 調査した富山市は市民アンケートで「トラム建設を評価する」と答えた人たちが80パーセントを超えていた。これについては「富山市全体の向上にトラムが貢献していることを認めていると認められる」と評価した。


 新交通システムのトラムは建設費や利用料がバス、地下鉄と比べて安いことや、環境に配慮している点のほか「自動車を徐々に排除して、人が歩いて楽しめるために街を活性化させるコンパクトシテイ作りに役立つ」など長所も指摘した。

 トラム導入の目的は「富山市福祉目的であったが、大阪の場合は観光が目的」であり、その大阪においては、天王寺からいずれも年間100万人の観光客が訪れているという天王寺動物園、新世界を経由して、日本橋筋商店街を北上。そして難波に到着するのがトラムの構想である。

 学生たちは「沿線には多様な魅力があり集客力ある街が点在しているが、それらをつなぐ交通機関がなく人々の回遊性が極めて低くなっている。それを解消するためにもトラムは必要」と、導入目的の観光を活発化させるためにもトラムが必要なことを指摘した。


 大阪におけるトラム事業の採算性はどうか。事業は継続できるのか。

 「運賃を100円均一で運用して、40年間運用しても建設費などを考えると成長性が乏しい、大阪府などの資料では挙げている」として、実際にかかる建設費用など支出と便益を金銭に置き換えて計算してトラム事業は社会に役立つものとはならないといった結果になってしまった」としている。

 しかしトラムは「道路やダムを造るのとは少し様子が違い、街の活性化、観光振興などの目的が大きい」として、今回、学生たちは「トラムが出来ることによって、今後増えるであろう観光客が消費する金額なども含めて考えなければならない」として、必要な9億7800万円の経済効果を算出した。それは観光客1人当たり1日11円の支出が必要となるが 「この数字からトラムが市民に受け入れられる交通機関としての可能性が高いことを証明している」とする。

行政が行ったWebアンケートのうち近畿圏在住の回答者のデータから、トラムが導入された場合の目的地は、なんば、天王寺が80パーセントと過半数を占め、多くは商業施設であった。
 「トラムがあれば利用するが、日本橋、新世界へという回答が少なかったのが気にかかる」として、街作りという魅力ある課題として残るとしている。




シャープ AQUOS、ヘルシオ、プラズマクラスターに集中した国内営業を展開 液晶テレビはシェア40%を

◆シャープは2015年11月、主力商品の現状と今後の国内営業の戦略に付いての説明会を同社の液晶テレビ工場である栃木県矢板市早川町の栃木事業所で行った。国内営業の説明にはシャープエレクトロニクスマーケティングの宮永良一社長、同居石勘資専務が出席。宮永社長は重点ブランドにあげる液晶テレビAQUOS、健康家電ヘルシオプラズマクラスターPCIをそれぞれ市場環境の変化と販促策を説明した。居石専務は「原点回帰」の営業への支援を求めるとともに、具体的な成功事例を交えて販促策を説明した。この日は液晶テレビの製造過程など工場の見学会も開き、50型以上の大型液晶テレビを製造する様子をアピールした。

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シャープエレクトロニクスマーケティングの宮永良一社長

 液晶テレビAQUOSの取り組みについて宮永社長は「4Kテレビの実売金額シェアは、15年6月に発売したハイグレード/スタンダード(US30/U30)のヒットで10月には全サイズで30%弱、50型以上で37~38%にアップしている」としたうえで、2015年度の見通しについて「今年度上期にはAQUOS史上最高画質の80型・4K NEXT(8K相当)が加わり、下期には11月に70型の高音質タイプも発売。サイバーシアターを含む強力なラインアップで、シェア40%を見込んでいる」と強気の見通しを示した。

 業界初の商品が多く見られるシャープだが、健康家電ヘルシオにも11月5日からラインアップに加わった「ヘルシオHot Cook」も業界初。おまかせ無水調理ができる調理家電であるばかりではなく、健康調理という切り口でユーザーの食と健康をサポートを目指している。
 こうしたヘルシオシリーズは「計画の1.6倍の販売を目標に取り組んでいる」(宮永社長)ところだ。

 このところ商品ラインアップの拡充が進んでいるプラズマクラスターについて宮永社長は「さらにラインアップを強化する」として、現在の40%のシェアもさらに拡大させる方向だ。


 同社のプラズマクラスター搭載商品(PCI)はリビング、クローゼット、トイレ、玄関、洗面所、寝室、子ども部屋、車などあらゆる身の周りへと広がりをみせており「空気のあるところプラズマクラスター空間であり、一室に一台を目指してラインアップを考えている」(宮永社長)としている。


 これら主力3商品群のプロモーションを中心に強化している。
 「AQUOS、ヘルシオプラズマクラスターを軸にテレビCMを中心にした幅広い媒体でプロモーションを展開している」(宮永社長)といい、関連会社のグループの総合力を生かした営業を展開中である。


■気づきを促す需要創造営業を推進

 

 家電品は成熟商品が大半で買い替えが中心の市場である。こうした市場では居石専務は「気づきを促す提案活動で買い替えを誘うことが大切」として、それを実現させる様々な販促策を用意している。

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シャープエレクトロニクスマーケティングの居石勘資専務

 買い替えの動機となるポイントは製品の故障、引っ越し、新機種の発売などである。こうした機会をとらえて、最新の商品情報を提供し、新商品を体感してもらうことによって「楽しい生活への気づきを促す」(居石専務)としている。


 たとえば液晶テレビでは「AQUOS 4K NEXT 特招会」といった実売イベントが全国各地で行われている。「15年6~9月度には全国約100ヵ所で特招会を開き、これによって150万円を超えるテレビを1日に1台を実売した」(同専務)などの成果が見られる。

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 このほかにも健康生活への気づきを促す「健康快適家電フェア」や快適な生活・部屋を実現するための「プラズマ空間の提案フェア」などがある。また住環境にフィットした商品を提案することによって、410リットルメガフリーザー冷蔵庫は部屋のインテリアに合わせた5色のカラーバリエーションを揃えることで需要を喚起。「本体色のホワイタイプの指名買いが多いなど、カラー戦略に手応えを感じている」(居石専務)し、エアコンは「究極の暖房機として提案をしている」(同)ところだ。


 このように気づきと顧客との接点、価値を融合した需要創造営業の原点に戻った「MST-NK作戦」を今、展開しているところである。

 

 

 

 

 

日本橋のまちのことを話そう  理想の街の姿と実現させる具体策を検討  「日本橋にトラムを通してにぎわいを進める会」が開催

◆大阪・日本橋ってどんな街。かつては電気の街で通用したけれど、それも影が薄くなってきた。街の顔が分かりづらくなっている。ポップカルチャーやロボット、電気(電子もの作り)の街へと多面的になってきている。街に次世代型路面電車(トラム)を走らせようといった、とてつもない大きな計画も飛び出してきた。そんな日本橋の街の明日について語ろう-といったワークショップ「話そう 日本橋のまちのこと ~トラムの似合うまちってどんなん?~」が、2015年12月7日、日本橋4丁目の日本橋筋商店街振興組合会議室で開かれ、新しい街づくりについて多くの意見が出された。

 

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明日の日本橋の街について話し合われた

 日本橋のトラムを走らせることで街に賑わいを取り戻すとともに、緑あふれる美しい街並みを作ろう-と活動を始めたばかりの「日本橋にトラムを通してにぎわいを進める会」(代表・蘇建源共立電子産業会長)が行った。
 この日は日本橋で商売をする人たちや地元町会の役員、路面電車愛好家、大阪の文化を大切にしたいと提唱する大学の先生など、日本橋が大好きな人たちばかり20余人が集まった。

 ゲストスピーカーには関西大学環境都市工学部建築学科の岡絵理子准教授が招かれて「皆さん1人ひとりが街を元気にする人たちになって、その具体策を考えて下さい」と呼びかけた。


 まず出席者を3つのグループに分けて①日本橋をどのような街にしたいのか②そのためにどうすればいいのか-について語り合って、その後それぞれのグループが意見発表した。

■街の顔はなに?

 

 グループごとに参加者のそれぞれが考える理想の街とその実現方法について意見が出された。このワークショップでは「他人の意見を決して否定せずに聞くことが大切」(岡准教授)とし、そこから新たな気づきを作り上げていくことが求められた。


 グループ単位でまとめた意見はそれぞれの代表者が発表した。
 目指す街のイメージについては「商業地として復活させるべきだし、そのためには歩いて楽しい街にする必要がある。歩くように移動できるトラムを導入するのもそのひとつの方策。コスプレをはじめ路地裏に見られるようなニッチで意外性がある街を作ることも、日本橋の魅力づくりには欠かせない」などといった指摘があった。

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グループごとに意見を出した


 さらに「路面電車が復活したら、芝生を敷き詰めた軌道を採用して街の緑化を進める。それがかつてのメイン通りの堺筋の復権につながり、沿道にはギャラリーなども設けるのはどうか」といった意見も。
 やはり一番求められたのは大阪らしい街。それは「おもしろい街であり、雑然とした猥雑な街。街の顔がはっきりと分かることも必要だし、お金を稼げる街であることも大切」と、隣りの京都や神戸とは違った発想が目を引いた。

■若者のパワーを生かす街に

 それを実現させるためにはどのようなことを行うのか。次のような意見が各グループから出された。
 「魅力がある街にするために、分かりやすくゾーニングして、街歩きのコースの設定とモデルコースの提示をする」といった、街の魅力を再発見してもらう提案が出た。それを具体化するものとして「日本橋トータルとしてのSNSを利用した情報発信を行う。同時に街の歴史を次の世代に継ぐために動画配信によって、より多くの人に見てもらう」といった案が出された。

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たくさんの街づくりの具体案が出た


 既存のパワーを利用するという意見も。
 「今までに日本橋は電子工作教室、日本橋ストリートフェスタ、アニメ村、もの作りロードなど、いろんなものを作ってきた。それに自信を持って大切に育てるのも、魅力ある街を作る次の一手になる。また、専門性の高い人との会話を楽しんでもらえる魅力を創り出すべきだ」といった、かつて専門店が得意としていた専門知識による接客を街づくりに生かそうといったグループもあった。

 また若者のパワーをもっと活用させようと「日本橋は昔から若い人がたくさん集まってくる最先端の趣味の街だった。今もそれに変わりはなく、戦前から一貫して趣味の町であり、猥雑な街である。これがこれからの街づくりのキーワードになる」といった意見も。
 また「若い人がやりたいことを実現させて、情報発信していくことが街の発展にもつながる」としたものの、ただ日本橋はテナントの家賃が高く、若い人にとっては入り難く、障壁があることも現実のようだ。

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岡絵里子准教授
 ワークショップを指導した岡准教授は「熱いシビックプランがたくさん出てきていました。これから大切なことは、今まで街に来なかった人たちを巻きこんで意見を聞くことが重要になります。次回からはそれも進めていきたい」と話していた。


  

 

 

 

インタビュー びっくりポンのジャンク販売 ジャンクは商売の原点 共立電子産業代表取締役会長 蘇建源 第7回

◆再びジャンクに話しを戻す。
 「ジャンクは屑です。それを生かしてきたのが共立の原点です」
共立電子産業の蘇建源会長は常々そのように言ってきた。
 その屑の中から光る玉を見つけ出して付加価値を付け、長期間に渡って販売することによって、売上を伸ばしてきたのである。

 屑の山から美味しそうなものだけを持ってきて売るのは誰でも出来るが、見るからに屑を売れる商品にするのは、かなりの目利き力が必要である。蘇さんは「今どきいいジャンクなんてそう滅多にあるもんじゃない。よほど目利きが効かないと売れるものは見つけられない。しかも買ってきたものに付加価値を付けることで10倍、20倍、30倍になって売れる」と、ジャンクの醍醐味を話す。
 ジャンクは100円で仕入れたものであっても、1000円にでも2000円にもなる。

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シリコンハウスの店舗にはデジットの表示が

 世の中にないものを販売するのだから、買う人も喜んで買ってくれる。しかもどこへいっても競合するものがない。もしあったとしても、元はジャンクだから共立では安く売れる。そうして利益を得ることで経営面でもゆとりが出来る。共立電子産業が創業時から進めてきた商法だ。


 ジャンクの世界も変化してきた。
 コンデンサやトランスといった旧来からの商品とともに、世の中の半導体化が急速に進むに伴って、ICのジャンクが出回り始めるようになってきたからである。

 ところが蘇さんはICジャンク品の扱いにはノーと言ったのである。
 「ICは非常に複雑な回路を構成をしている商品ですから壊れても分かりにくい。ジャンクと言えどもは信頼性が第一だから、ICのジャンクを販売するのは危険なんです」しかも部品業界では、半導体からそれを集積したICへと変わろうとしていた。そんな中で「いつまでもジャンクばかりを販売していたのでは店を伸ばすことはできない」と判断した蘇さんは、ジャンクとICなどの店舗を別けるが、それはすでに触れた通りである。


 大阪・日本橋の部品販売会社はジャンク販売からスタートしたところも少なくない。
「同じように付加価値販売や扱い商品などを経て今日に至っているケースもあり、ジャンクは決して下の商品と位置付けられない」
 蘇さんは大学で機械を専攻している。謂わば部品を販売するのは門外漢であった。それが資金も何も持たずに部品の商売を始めるには、ひと皮むいたら美味しいものが出てくるジャンク販売は、まさに起業する格好の材料だったわけだ。


 ジャンクだけに限らないが、客が喜ぶ商品情報を商品に付けることで付加価値を高くすると良く売れる。今に続く共立電子産業の商売の基本である。
 トランスには電源トランスもあればオーディオに用いる出力トランスもある。それぞれ自ずと電力・電圧出力は違ってくる。そうしたことも教えるのは、ジャンク販売での接客では欠かせない。それが付加価値として、屑みたいなジャンク品が高い値段を付けることができるからだ。
 時にはジャンクに回路図まで付けて販売することもある。回路図にはトランジスターなどほかの部品まで型番入りで書き込んである。それが周辺の部品も付随して売れることになることがあるからだ。

 ガレージメーカー、日本風に言えば四畳半メーカーでは注文を受けた商品を作るのに、いちいち金型を作っていられない。ジャンク屋で代用できる商品を探すケースもある。
 そんな客が共立電子産業にはたくさんやって来た。今も来る。
 「ライターをカチッと押したら火花が飛びますが、その点火に用いられるのが圧電素子という部品です。ある時、その部品の新品ジャンクが箱入りで出たことがありました。それを販売する店では危険品扱いして持て余していたものを全部買ってきました。<近づけて用いるとICが壊れます>と但し書きして並べたんです。ところが飛ぶように売れた。中にはICが壊れることを逆手にとる想像も付かない利用を考えた人たちもあった」
 過去の話ではあるがこれも付加価値情報のとつであり、客がおもしろがる商品は売れるという一例でもある。

 このようにジャンクを売って利益を上げるのは、ひと工夫もふた工夫も必要で、ほかのどの部品よりも販売するのは難しいかもしれない。
 ICを売るためにジャンクをシリコンハウスからデジットへと移した。蘇さんは「そこでも私が教えた高付加価値販売を受け継いでくれており、マニアにとっては<おもしろい>と評判を高めている」といい、何が飛び出すか分からない「びっくりポン」のジャンク店を一般部品を販売する店舗から分離した一応の成果を得ているようである。


 

 

 

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インタビュー 客とのコミュニケーションが作った創業45年 共立電子産業代表取締役会長 蘇建源 第6回

■大阪・日本橋共立電子産業のブルーの紙袋を下げて歩く人の姿を見ると、現場を離れて30年もたった今も同社の蘇建源会長は思わずうれしくなってしまうという。長く売り場に立っていないと客の顔も忘れがちだが、たまに通りですれ違う人の中に「うちのお客さんや」という人を見つけることがある。その人もまた創業からの45年を支えてくれたひとりなのである。

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たくさんの人たちで賑わう共立電子産業・シリコンハウス

 社長から会長へと退いたというものの、時折、売り場に顔を出すこともある。そうすると古い客が蘇さんの顔を見つけて話しかけてくれる。
 「店員さんは親切でいい人ばかりですね」
 これねまたうれしい一言である。
 売り場に立つ社員は若く、自分が直接指導したものはいないが、かつて教えたことがそのまま受け継がれているのである。

 

 創業以来、同社の店はいろんな人が利用している。電子工作を趣味にする人たち。もの作り企業の経営者からその社員、さらには大学の先生や学生といった具合に多士済々である。ラジオを作るのが好きだった父親に連れられて日本橋には良く来たという女性は、成人してWebシステムの仕事をするようになったという。そんな人たちが今もたくさん集まってきている。

 「創業して15年ぐらいは売り場に立って、お客さんと直接に会話していました。もちろん業者とのやり取りも僕がやっていました。昔からできるだけ若い人に任せて育てたいという考えがあり、早い段階で現場は離れましたんです」

■うれしい電話

 短い期間ではあったが、蘇さんは若い社員たちに人とのコミュニケーションを大切にすることを教え込んだ。売り場での商品説明はもちろんのこと、電話での商品に関した質問にも丁寧に応えるようにと。それらはすべて自分がいつも行っていることばかりであった。それが今の社員1人ひとりに受け継がれているのだ。

 「電話での商品の問い合わせが多いんですが、販売に結びつかない恐れもあります。それでもいい加減な対応をしていてはいけない。まるで売り場で話しているように、丁寧な説明をしてあげることで、電話で買ってくれるお客も多かったんです」

 ジャンクからスタートして扱うパーツ商品もパソコンや半導体へと変化してきた。今、多くを占めているのはシリコン、コネクターから抵抗、コンデンサー、ロジックIC、CPUなど電子回路のパーツ類である。電線類も安定的に売れている。
 蘇さんは「メモリーは生ものなのと、しかも安く買って早く売らんとあかん」といい、それは主にパソコンのパーツを販売する店に任せてきた。

 支店のデジットで販売するオーディオ系や制御系の商品も安定して売れている。「ちょっと面白いパーツをマニアや教育関係など電子趣味人たちは今でも探していますね」と蘇さん。

 早い時期からパソコンの販売を手がけたことは、販売・宣伝の方法もいち早くインターネットを利用する方法を取り入れてきた。
 「インターネットはパソコンの延長線上にあるものなので、比較的早く取り組めましたね。それを使った宣伝をするところから始めました」

 共立電子産業は店頭販売とともに技術系雑誌を使った通信販売も行っていた。インターネットを導入するようになってからは、ホームページを開設して雑誌広告と連動させている。カタログをインターネットで配信するなど宣伝と通信販売を兼ねたようなものだった。徐々にインターネットにウエイトを移していき、2009年の段階ではネット通販は雑誌通販の倍にまで膨らんでいる。
 
 商品構成が電子部品の通販ではトップクラスだろうと見られている。
ところが扱う商品が小さいだけに、(ネット)通販の売上が増えると、宛先を書いて伝票を添えて梱包し、発送する作業が大変。人手もかかるしなどと蘇さんは笑っている。


 

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シャープ、プラズマクラスタエアコンXシリーズを12月11日から発売  吹き出す風に含まれるカビ菌を約99%カットする「風クリーンシステム」を搭載

◆シャープが自社のエアコンに、エアコンの運転中はエアーフィルターでホコリをブロックし、停止後は湿度をカットして内部洗浄して、ホコリや湿気、空気の停滞などカビ発生の要因を防ぐ「風クリーンシステム」を搭載したのは2015年度の新製品からだった。それをさらに進化させたのが12月11日から順次発売するプラズマクラスタエアコンXシリーズ。吹き出す風に含まれるカビ菌を約99%低減して清潔な風を送り出すことができる。高濃度プラズマクラスター2500の働きによってカビ菌の増殖も抑制する。

 

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パーツを取り外して水洗いもできるプラズマクラスターエアコンXシリーズ

 プラズマクラスタエアコンXシリーズは、カビが発生しやすい温度や湿度になると、自動的にファンが逆回転し、高濃度プラズマクラスターイオンが充満してカビ菌の発生を抑制させる。「風クリーンシステム」を搭載していない機種と比べて、吹き出す風に含まれるカビ菌を約99%低減するため、床面まで高濃度プラズマクラスターイオンを届け、カーペットにしみついた汗のにおいなどを消して、部屋の空気を浄化する。


 搭載する「風クリーンシステム」はエアコン内部を清潔に保つ効果があり、従来よりも進化している。そのひとつが掃除アシストブラシを新たに追加していることだ。それによってエアーフィルターの内側に入り込んだほこりや油汚れを押し出して、ほこりをブロックしてくれ。
 シャープは「フィルターの自動掃除で当社従来比約1.3倍のほこりがとれる」としている。

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上下両開きのロングパネルによる気流制御は不快な温風も制御してくれる

 エアコン内部にほこりや汚れがたまると、風の流れが滞って、送風時に余分な電力を消費することになる。その送風時の無駄な電力を抑え、同システムを搭載しない機種と比較すると消費電力を約1.7%も低減する。


 また、室内機の吸い込み口を拡げ、送風ファンを大きくすることで送風効率がアップしたことで、省エネ性能が同社比約5.8%向上させている。

 

 プラズマクラスタエアコンXシリーズはさらに、パーツを取り外して水洗いできるのも大きな特徴だ。同社によると「エアコンを自分の手で手入れしたい」という人は26%で、「したいと思ったことがある」という人たち45%を加えると7割以上が手入れを希望している。
 さらに「水洗いしたい」人は21%で、「できればしたい」といった人たちは61%もあり、8割を越す人たちがパーツの水洗いといったニーズを持っている。

 新製品はパーツを簡単に取り外して水洗える作りにしている。吹出し口周辺のルーバーは業界で唯一、完全に取り外せるようにしているほか、手入れの手順を本機が音声で教えてくれるほか、手入れ方法を紹介する動画をスマートフォンなどで確認することもでる。

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エアコンの業界需要動向の推移(シャープ予想)


 独自のロングパネルを従来の機種と比べて122%大きくしたことで、温風を足もとまで届けることができる。最高足元温度は従来が41℃だったのに対して、42.5℃にまで高めている。

 このほかにもシャープ独自の上下両開きロングパネルによって気流を制御して、冷房時は部屋全体を均一に冷やし、暖房時には足元から温める。また、人に風を当てない気流制御は、人の位置を検知して不快な温風を制御する。


 12月11日から順次発売するのは、6畳タイプから23畳タイプまで全部で9機種。市場想定価格は23万円前後から35万円前後まで。いずれも税別。


 

 



 

ヴァンソン藤井由実さん  大阪・日本橋でLRT導入をテーマに意見交換会  LRTは街の景観を再生する

◆フランスの都市交通政策に詳しいヴァンソン藤井由実さんが、このほど大阪・日本橋日本橋筋商店街振興組合の会議室で、次世代路面電車システム・LRTの普及が進む仏・ストラスブールの事例を元に講演し、LRT導入を計画する日本橋の人たちと問題点などについて意見を交わした。

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仏・ストラスブールの事例を紹介しながらLRT導入について話す
ヴァンソン藤井由実さん

 LRT導入には住民の同意が欠かせないー。

 ヴァンソン藤井さんは参加者を前にそう言い切った。
新しい事業を進める段階では必ず反対派の存在は付き物であるが、まったく新たなLRTを導入するような場合にはなおさらである。
 そうした点にヴァンソン藤井さんは「すでに導入している先進地域の事例を反対派の人たちに見てもらうのが良策」と指摘するとともに「導入に失敗したケースからその原因を学んでおくことも大切」とも助言した。

 昭和時代には路面電車も走っていた日本橋筋ではあるが、それが廃止されて久しい。代わって地下鉄が道路の下を走る。それで十分じゃないか。当然、そんな意見も出てくる。

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路面電車とLRTの違い


 ヴァンソン藤井さんが見続けているフランス・ストラスブールのLRTは21年前に導入されているが、その一番の導入目的は「街の景観を再生することだった」という。
 道路は車に占有され、人が街歩きを愉しむ環境ではなかったようだ。しかしLRTを走らせるで、車を少なくして、街にうるおいと賑わいをもたらせることにつながる、と市長みずから旗を振って導入が進められた。

 今の日本橋も中央の広い道路は車のものであり、歩道は走る自転車の恐怖を感じながら歩かなければいけない。
 LRTはそうした一昔前の状況を改善してくれるようだ。

 ストラスブールでは大型駐車場を街の入り口に設けて、街に入るにはLRTを利用するパークアンドライド方式が採用されている。これによって車の乗り入れが規制され、歩行者専用道路や自転車専用道路も整備され、街は人々の回遊性がぐんと高まった。

 電車の軌道は緑化することで、街並みの美化にもつなげているし、街灯、駅名標識、ゴミ箱などのデザインを統一化して、美しさとともに初めて街に訪れた人にも分かりやすいサービスを提供されている。

 もちろんいいことばかりではない。LRTを導入する工事の間、商店街の店舗は来店客が減少するかもしれない。それをフランスでは売上の減額損を店舗が申告することによって、市が補填することで解消されている。LRT導入のための行政側による施策の整備も欠かせないようだ。

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LRTには人優先のさまざまな工夫が見られる

 地下鉄と違ってゆっくりと走る路面電車は車窓から街の景色を楽しむことができる。「あっ!こんなお店が出来たんや」など、新たな発見もある。暗闇の中を走る地下鉄では決して味わえない楽しみのひとつでもある。

 参加者から出された質問にヴァンソン藤井さんは「これが単にかけ離れた外国の都市の事例として受け止めるのではなく、自分たちの街に置き換えて考えていくことが大切。LRTの導入をひとつのきっかけとして、暮らしやすい街、歩いていて楽しい街、そして美しい街並みを取り戻すことにつなげてほしい」と話していた。

 

 

 



シャープ、プラズマクラスターイオン発生機   ベッドサイド用と天井設置型の2タイプを発売

◆主力商品の幅を広げようと懸命にシャープは今、部門単位に新規商品の開発に力を入れている。業界に先駆けた商品開発は同社が創業時から受け継ぐDNAであり、先の決算での赤字も跳ね飛ばす活力の源となると期待されている。2015年11月26日から発売するのは、おしゃれに枕元をトータルケアするベッドサイド用とLEDライトを搭載した天井設置型のプラズマクラスターイオン発生機である。いずれも昨年初めて発売したが、予想を上回る好調な売れ行きにアップグレードした新機種を投入し、同社オリジナルのプラズマクラスターの普及をはかる。

 

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枕元をトータルケアするベッドサイド用プラズマクラスターイオン発生機

 プラズマクラスターは除菌・消臭、静電気除去効果、肌保湿効果などがあるとされている。シャープは自社の空気清浄機やエアコン、冷蔵庫、掃除機など15品目に搭載するほか、国内の26社の異業種企業にも提供している。それを搭載した製品の累計販売台数は6000万台にもなるという。

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増えるプラズマクラスター搭載商品

 

 それを搭載する自社製品のひとつで、今回、第2弾を発売するのが、枕元をトータルケアするベッドサイド用とLEDライトを搭載した天井設置型のプラズマクラスターイオン発生機である。

 

 とりわけベッドサイド用の「IG-HBP1」は、女性の「ベッド周りでの悩みごと」を解消してくれる商品だ。寝ている間の汗の臭い、体臭などを消臭して枕の周りを清潔にしてくれるほか、浮遊アレルギー物質の作用を抑えたり、寝ている間の美肌ケア、気分と目を和らげてくれる「さくら色あかり」効果でリラックスさせてくれる。市場想定価格は2万円前後(税別)。

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プラズマクラスターイオン発生機の市場拡大を話す
中島光雄シャープ空調・PCI事業部長

 

 この商品が女性を意識しているのは、従来商品とは大きく変化した商品の形状を見ても分かる。それはまるで香水の瓶のようでもあり、最も広い部分の面積が従来よりも約55%もスリム化している。
 しかも本体にはさくら色の水が入っているかのように見えるラインシルエットが「プラズマクラスターのうるおい効果を表している」ようである。

 

■電球感覚で使えるニオイ除菌・消臭

 

 LED照明とイオン発生機がひとつになったのが2014年に発売した天井設置型プラズマクラスターイオン発生機「IG-GTA20」であった。「場所もとらず電源にも困らない」「人感センサーなので消し忘れがない」など、好評を博している。

 

 しかしそれは1畳用とトイレなど限られた狭い場所でのものだった。そこで今回発売するのは1畳用「IG-HTA20」のほかに2畳用の「IG-HTA30」を加えた2タイプを発売する。ともに従来のソケットがそのまま使えるE26口金形形状アダプターである。市場想定価格は1畳用が2万2千円前後、2畳用が3万円前後。いずれも税別。

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電球感覚で使えるプラズマクラスターイオン発生機

 1畳用はトイレに、2畳用は玄関・洗面所などの除菌・消臭に適している。いずれも気になる「ニオイ原菌」をプラズマクラスターイオンが除菌と消臭してくれる。
 さらに1畳用は照明の明るさは従来機と同じながらも約30%の小型化と静音化を実現。新たに投入する2畳用はイオン効果の範囲を従来機の2倍にし、明るさは60W相当で810ルーメンにまでしている。

 

 もちろん従来通り人感センサーでLEDライトは人がいる時にはオンに、いない時にはオフに自動的に切り替えられる。プラズマクラスターはどちらの場合も運転を続ける。


 

 

 

 




 

日本電業工作、災害に強い街づくりに役立つ防災情報ステーションを発売  カメラ・Wi-Fi機能付防災照明灯

◆太陽光パネルで発電する自立電源の照明灯でありながら長距離無線中継機能やWi-Fiアクセスポイント機能、監視カメラ機能を備えた「ワイヤレス照明灯」を通信インフラ開発の日本電業工作(東京都千代田区九段南、瀬川純社長、DENGYO)が2015年12月から発売する。災害時に夜間の避難路を照らしたり、避難場所での非常灯として利用、さらには災害現場の状況を映像でリアルタイムに無線伝送するなど緊急時の通信手段として有効。このワイヤレス照明灯は災害に強い街づくりに役立つ防災情報ステーションとして期待されている。

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 防災情報ステーションの都市防災対策での利用イメージ

 

 設置する場所や用途に応じて3つのラインナップが用意されている。価格は120万円から。

 都市防災対策としての利用には照明にWi-Fi機能とカメラ機能、中継機能を備えたフルタイプが、セキュリティ対策として使用するにはカメラ機能と中継機能を付加したもの、そして観光地などWi-Fi機能を整備するのが目的にWi-Fi機能と中継機能を備えたものの3種類である。
 いずれのタイプにもLED照明、太陽光パネル、内蔵バッテリーは付属しており、電源も通信光ケーブルも不要の完全に自立して運用できるようになっている。


 搭載するカメラは2メガピクセルの高画質カメラで、無線伝送機能とアクセスポイント機能には業界最小の低消費電力2.5Wの「Falcon WAVE2.4G」を使用している。基幹中継系はDENGYOの高利得アンテナと組み合わせて、1対1のポイント トゥ ポイントで最長6キロメートル、1台に対して最大4台の子機とのポイント トゥ マルチポイントでは最長880メートルの無線中継伝送が可能だ。


 総合的な都市防災対策としての活用を目指す最上位タイプは、通信網などが遮断された場合でも防災情報ステーションとして住民の安否確認や拠点間の通信手段として情報伝達ができる。避難所のリアルタイム映像中継からWi-Fiエリア化までを1台で構築できるので、住民が多く集まる大規模な避難所や施設に最適とされている。

 

 カメラ機能+中継機能タイプは、工場や施設の入口などに設置して、防犯カメラ監視として映像をリアルタイムで無線伝送して、遠隔地の状況を常時監視することもできる。犯罪抑止としても効果的です。車番認識ソフト等と組み合わせると入退出車両を遠隔で管理できる。

 下位機種のWi-Fi機能+中継機能タイプは、観光地や公園などのWi-Fi環境の整備として観光情報の発信や地域サービスの提供などに適している。中継機能で防災拠点などと結んで、災害時の防災Wi-Fiステーションとしても利用できる。


[防災情報ステーション ワイヤレス照明灯]

http://www.den-gyo.com/solution/solution09_b.html

 

 

 

トラム728推進委員会  LRT都市サミット鹿児島2015と第12回全国路面電車サミット2015鹿児島大会に参加  「トラム728(なにわ)線」開通への情報を収集

◆かつては車がなければ夜も日も明けぬとさえ言われていたが今はまったくその逆。人々が歩いて暮らせる楽しく安心・安全な街を作るためにも車から道路を取り戻し、車に追い払われた路面電車を復活させようといった市民運動が全国で盛んに展開されています。大阪・日本橋に次世代型路面電車(LRT)で賑わいを取り戻そうと運動を続けている「日本橋にトラムを通してにぎわいを進める会(トラム728推進委員会)」(蘇建源委員長)もそうした街づくりを考える団体だが、2015年10月23、24日には鹿児島市内で開かれた路面電車が走る全国8都市の首長たちが集まった「LRT都市サミット鹿児島2015」に初めて参加。
また24、25の両日には同市内のホテルで開かれた、路面電車の愛好家たちによる「全国路面電車サミット2015鹿児島大会」にも出席しました。いずれのサミットもLRT・路面電車の導入によって、環境に配慮して地域を元気にする公共交通ネットワークによる街づくりを目指すーなどのサミット宣言を発表して、路面電車の普及を誓い合っていました。トラム728推進委員会では、この内容を検証しこれからの日本橋の街づくりにどのように生かしていくかを考えることにしています。

 

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LRT都市サミット鹿児島2015」のもよう


 両サミットには大阪・難波と阿倍野を結ぶ次世代路面電車(LRT=トラム)の開通を目指す「日本橋にトラムを通してにぎわいを進める会(トラム728推進委員会)」(蘇建源委員長)が初参加しました。同会はLRTを街の中心部を走る堺筋日本橋筋)に通して、街の緑化と賑わいを取り戻し、買い物客や観光客が楽しく街歩きできるようにしたいと考えています。

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全国路面電車サミットで「トラム728線」構想を説明する蘇委員長

 蘇委員長は両サミット参加して、すでにLRT・路面電車を導入している都市の意見、導入しようとする街の声を聞くことで「これから開通運動を始めるトラム728(なにわ)線に役立てたい。失敗事例なども参考にしたい」と話していました。
 都市が新たにLRT・路面電車の導入の増設をはかる場合、行政機関や議員などへの説得工作が必要なことはサミットの他都市の事例でも明らかになっており、大阪・日本橋においても今後、情報収集とともにロビー活動が重要になるとみられています。

■LRT導入で歩いて暮らせるコンパクトな街づくり

 

 同市内の東急REIホテル鹿児島で開かれたLRT都市サミット鹿児島2015には、LRTのトップランナーとも言われている富山市の中村純副市長をはじめ福井市の中西賢也特命幹、豊橋市の木村邦久副市長、岡山市の山﨑康司都市整備局長、広島市の竹内功副市長、松山市の梅岡伸一郎副市長、熊本市の大西一史市長、鹿児島市森博幸市長らが参加しました。
 首長会議ではそれぞれが、各地の路面電車のLRT化の取り組、LRT・路面電車を使った街づくりの展望などについて発表しました。

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サミット宣言を発表したLRT都市サミットに参加した8都市の首長

 参加都市の中で唯一LRTを導入している富山市の中村副市長は「新幹線の高架下にLRTが乗り入れをして高齢者や児童の利用が増えおり、JR線で南北に分断されている現在のLRT線は今後接続させることでより利便性を高める」と話しました。
 同市では沿線にイベント空間を設けるなどして利用者の拡大を図っており、街の賑わいにつなげている事例も紹介していました。

 サミット開催地の鹿児島市は大正元年に路面電車を導入しています。現在は57両(うち低床式は13両)が運行。26年度には年間利用者数は約1069万人になっています。今後、LRT化を進める一方で都市の魅力を拡大するために、錦江湾など市内の水辺の観光地を巡るウォーターフロント線を新設するなど、観光路線を充実させたいとしています。

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鹿児島市内を走行する路面電車

 LRT都市サミット鹿児島2015の初日の最後は、8人の首長が勢ぞろいして「歩いて暮らせるコンパクトな街づくり」「観光客にも分かりやすい公共交通」「環境負荷の少ない街づくり」「LRT化への優遇税制」「都市間連携」の5項目の実現を目指すといった「サミット宣言」が発表されました。

宇都宮市が来年度LRT整備着工へ

 LRT都市サミット鹿児島2015の2日目は、鹿児島市内の最高気温が30℃にまで上昇した中で行われました。

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基調講演をしたフリーアナウンサー福澤朗さん

 基調講演では元日本テレビのアナウンサーで、フリーアナウンサー福澤朗さんが、日本人は昔から鉄道を擬人化するなど鉄道を愛する気風が強いことを説明。
 鹿児島国際大学鹿児島市交通局とのコラボレーションで誕生したキャラクター車両「シロクマ黒豚でんでん」に代表されるように、全国でも路面電車が市民に広く親しまれていることが大切であると指摘しました。
 次いで次世代型の路面電車であるLRTは「高齢者も利用しやすく暮らしやすい街づくりを進める地方再生の交通機関である」と、その必要性を強調していました。

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フランス・ストラスブールでのLRT事例を説明するヴァンソン藤井由実さん

 ビジネスコンサルタントのヴァンソン藤井由実さんはフランス・ストラスブールでのLRT導入の経緯や運用の実態、将来計画などを話しました。

 LRT導入都市のトップランナーと言われる富山市からは中村純副市長が、JR線で南北に分断されている路面電車の路線を、JR線の高架化によって南北を接続させる計画を説明しました。
 宇都宮市の福原悟建設部次長は2016(平成28)年度にLRT整備に着工し、2019(31)年度にもLRTを運行させることを発表しました。

 同市は今年11月6日にLRT事業会社を設立することになっている。2019(平成31)年度のLRT導入・運行に向けて、来年度にも整備着工する計画が発表されました。事業費は452億円を計画。ピーク時の1日の利用者数が2万3千人(最低時1万5千人)と予測しています。

■LRT導入は街づくりの基本

 第12回全国路面電車サミット2015鹿児島大会は、24日夜、同市内のホテルに全国から路面電車の愛好家たちが100人余が集まり、逢沢一郎衆議院議員などを招いて懇親パーティーから幕開け。25日には会場を同市内のホールに移して、全国から24の市民団体から活動状況や現地でのLRT化への取り組みなどが報告されました。

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低床型車両と軌道内の緑地化が進む鹿児島市電

 会議に先立って糸嶺篤成大会実行委員長、福元修三郎鹿児島市交通局長があいさつ。鹿児島市電の特徴などについて説明しました。

 参加した路面電車に詳しい宇都宮浄人関西大学教授は「歩いて楽しい街づくりが大切になってきている。そのために何が必要なのか、どのようなサービスが求められるのかを考えなければならない」と、LRT導入の目的を改めて指摘しました。鹿児島中央駅周辺でまち案内ガイドをする能勢謙三さん元南日本新聞社記者は「誰にでも分かりやすい公共交通システムが大切である」と強調していました。

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LRT都市サミット鹿児島2015で鹿児島市の公共交通システムについて話す森市長

 来賓のひとり国土交通省都市局の神田昌幸街路交通施設課長もまた「街づくりには何が一番求められているのかを考えていくことが重要」と、街づくりを基本にLRTの導入・運行を進めるべきであることを指摘していました。

 最後に糸嶺大会実行委員長がLRT導入へ向けての運動を「幅広い市民合意形成のモデルになるように、各地の団体が連携して取り組む」と、鹿児島大会のサミット宣言を読みあげて閉会しました。

 

【精米】京都府 丹後産 白米 コシヒカリ 5kg 平成27年産

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