新・デジタリアンの散歩道

デジタリアンが取材したデジタルなニュースをお届けしています。

救出せよ ! iPhone4S

◆2015年9月25日、アップルは日本でiPhoneの新機種「6s」「6sPlus」の2タイプを発売する。いずれも16G、64G、128Gのタイプがある。6sは現行の「6」と大きな違いはなさそうだが、次に出る「7」はデザインも含めて大幅な改良が加えられそうだ。

iPhone初代の「3G」から使い続けているボクは、いまだに「4s」でとどまっている。使い続けてもう4年近くになる。こんなロングユーザーは今どき珍しい存在だろうが、長く使っているとやはり端末にはいろいろと不具合が出てくる。

毎月、大阪市内で開いている「関西理事会」という名の飲み会を終えて、ひとり行きつけの店で休憩しようと足を向けたのであるが、ふと見たiPhoneの画面の3G回線の接続状態を表すマークが「検索中」となっているのである。送ったはずのLINEメールも「未送信」を示している。

店に入って何度となく再起動したり充電をするが、症状に変化はない。しばらくすると復帰すると安直に考えてその日は寝てしまったが、朝になっても解消させていなかった。現実は厳しいものであるということを突きつけられた思いがした。

■頼りになるアップルサポート

3G回線に接続できなくなったが、Wi-Fiは利用できるのでネット接続は可能だが通話は出来ない。ネットで解消法を探したり、あれこれ試すが効果はない。困った。
翌日は日曜日だった。朝10時の開店時間を待って、駅前にあるソフトバンクショップに駆け込んでみた。4年近くも使い続けていることに驚くばかりの店員さんは、あれこれ試すが首をかしげるばかりである。SIMカードを抜いて掃除をしたり、カードの抜き差しをしてくれるがそれでもダメだ。

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アップルなのにみかんがおいしい

結局、具体的な方法は聞けず仕舞いで、新機種の値段を教えてもらい「割引クーポンや下取りキャンペーンを利用すると安くなりますよ」とセールストークを聞いてお終いだ。今までにショップで助けてもらったことは一度もない。
梅田にあるアップルオフィシャルの修理店へ行くか、心斎橋のアップルショップへ出かける方法もあったが、以前に2度ほど不具合でお世話になったアップルサポートセンターへ電話をかけてみることにした。

昼前になってサポートセンターへ電話をした。
待つほどもなく、サポートの担当者が出てきた。名前を言って、症状を簡単にいう。さらにここでは「電話が途中で切れてしまった場合に、掛け直す電話番号を教えて」と必ず聞いてくる。これはいい方法である。
問診による解消策はデータのバックアップを取って、iPhoneを復元するといった方法だった。バックアップデータをiPhoneへ復元して、それで元に戻らねば修理 or 買換えだという。

修理には2、3万円かかると前日のショップの係員は話していた。それならば買い換えであろう。でもその前に元に戻るか試してみたい。そんな想いが強かった。

まずデータのパックアップを取って、iPhoneを復元させることになった。復元とはiPhoneを工場出荷時の状態にすることである。ボクが入れたデータやアプリはきれいになくなってしまう。初期化と言えばわかりやすいかもしれない。そのためにバックアップを取っておくのである。

■長時間かかった復元(初期化)

復元(初期化)とともに新しいOSであるiOS9を入れる。この一連の作業に時間がかかる。あとでアップルサポートセンターに聞いた話では、iOS9のダウンロードが集中していてサーバーが大変に込み合っているのだそうだ。実際にボクが復元作業の前段階を終えるまでに半日がかかった。

そんな時にはみかんでも食べて心を落ち着かせるしかない。
「アップル(りんご)にみかんとはおもしろい」
何て投稿をFBにくれた人もいた。
アップルサポートセンターの懇切丁寧な説明には感心するとともに、今回で3度目だが大いに助けられた。
2日目のiPhone救出作戦はiTunesの最新バージョンのインストールから始まった。

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復元には時間がかかる

昨夕、バックアップデータの復元手前で止まってしまった作業は、ボクのパソコンのOS・Vistaでは、iTunesの最新バージョンをインストールしないと前に進めないということが判ったからだ。

ところがVistaでは、その最新バージョンがインストール出来ないといった表示が出るのだ。何度か試みるが症状は同じである。朝を待ってアップルサポートセンターに電話をかけて、その対処法を教えてもらうことにした。サポートセンターのアドバイスによると、旧バージョンをアンインストールして新しいiTunesをインストールするという。


■我に七難八苦を

尼子十勇士のひとり山中鹿之助は「願わくば我に七難八苦をあたへたまへ」と三日月に祈ったそうだが、出来ることなら難儀や苦しいことはひとつもないのがいい。

古いiTunesをアンインストールしたものの、消去されないでいるファフいるがいくつかあった、その中のひとつのファイルだけがどうしても消去できないのだ。アップルセンターは「それが残っていると新バージョンのiTunesはうまく機能しない恐れがある」と、いろいろと手立てを教えてくれるが、上手くいかない。

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山中鹿之助のように耐え忍ぶのがiPhone救出の心得


サポートは電話だが、アップルはボクのパソコン画面を共有して「ここをクリックして」などとカーソルで指示してくれる。

サポートセンターでは上手くいかない対策をあれこれと検討してくれたようだが、ウインドウズパソコンによる原因と判断して、ボクのパソコンを製造した富士通へファイルの削除を聞いてくれ、という。
早速、電話をするものの新しいウインドウズのOSに関した問い合わせが集中していてつながらない。

♪ どうすりゃいいのさ思案橋 ~ なんて青江三奈になっている場合じゃないけれど・・・かと言って三日月に祈ろうにもまだ月が出るには早すぎる。


■突然のサヨウナラ

がんこなファイルはウインドウズをセーフティモードで起動してみると難なく削除できた。この起動は富士通サポートセンターの女性が教えてくれた方法であった。

ウインドウズのファイル削除はアップルでは判らないのでパソコンのメーカーに直接聞いて・・・とアップルサポートセンターに指示されて電話したものであった。
ところが話をしている間に富士通につながっていた固定電話は、突然にピピッと小鳥のような小さな声を発して死んでしまったのだ。

バッテリーが切れてしまったのである。

いつも携帯ばかりで固定電話機はもう何年も使っていないので、バッテリーが消耗してしまっていたのだろう。

パソコンの画面は暗黒の世界である。

どうすればファイルを消去できるのか、富士通の女性に聞かないままに電話は切れてしまった。かと言ってセンターにもう一度かけ直すにもバッテリーがないのでかけられない。携帯電話ではつながらいフリーコールなのである。

再び青江三奈を歌いたくなってきた。
しばらく画面を見つめていて、今度は ♪ もしかして もしかして ~ と、ボクの心は小林幸子と美樹克彦の歌になっていた。
えい、とばかりに気合を入れてファイルの削除を試みたら・・・見事に消えたのである。

やった~!
これで新しいiTunesをインストールするだけである。


iPhone救出の最終章

秋晴れの空である。ボクにもようやく休日がやって来た。そんなことできょうはシャンソンコンサートへ出かける。日曜日、月曜日のまるまる2日間、iPhone救出作戦に従事していたのであるから、心も休まる暇がなかった。

iPhone救出の最終章をお届けする - 。

小さな電話機ごときでこんなに時間を費やし心中を悩ませるとは、iPhoneはボクにとっては親しい身内みたいなものなのだろう。
おっと、ボクのiPhoneは電話には使っていないから「小さな電話機」という表現は、適当ではないかもしれない。むしろ「小さなパソコン」と言った方がいいだろう。

きのうは新バージョンのiTunesをインストールするところでアップルサポートセンターとお別れした。日曜日の朝に電話をかけて以来、延べ5、6人の<アップルマン>の人々に救出の手伝いをしてもらった。まさに国際救助隊・サンダーバードのような存在であった。

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アップルマンたちはサンダーバードの隊員みたい

救出中に突然起こる予期せぬ事態に電話口のアップルマンは、時折、「スペシャリスト」や「上席の人」に相談に行く。「問題はウインドウズ側にありそうなのでPCメーカーに訊ねて」と言われた時には、もうダメかと思ったが、それも何とか切り抜けられた。
相談している途中で電話が切れたままになった富士通サポートの窓口の女性には迷惑をかけてしまったが・・・。

iTunesのインストールが終わると、今度はiOS9が入ったiPhoneへ自動的にデータを復元させてくれる。これはさほど時間はかからなかった。
だが「デジタル朝日新聞」のアプリが旧バージョンに変わってしまったり、LINEのアプリが機能しないなど一部で不具合が見られたけれど、それもアプリをアップデートすることで解消された。

と思ったのだが、LINEの友だちが消えてしまったのは「嘆きの雨」(パク・ジュニョン=キングレコード)である。


 

Autodesk AutoCAD LT 2016 Commercial New SLM

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シャープ、自走式業務用ロボット掃除機を開発   アマノと協業で製品化   28日アマノから発売

◆シャープはタブレット端末で設定するだけで自動で掃除をしてくれる業務用ロボット掃除機を、時間管理・業務用清掃機器の大手メーカー、アマノと協業して開発。アマノが2015年9月28日から自社ブランドで発売する。シャープは今回、ロボットの走行を制御するアルゴリズム(手順)による自律移動技術を開発した。販売価格は180万円(税別)。アマノは初年度300万台の販売を目指している。

 

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タブレット端末で操作できる自律走行式ロボット掃除機

 

 記者は老人病院で寝た切り患者ばかりをを収容した病棟で清掃の仕事を、約1年間にわたって経験したことがある。床の掃き掃除・水拭きの後、ポリシャーで磨いて仕上げる。100床ほどの病室を1人で担当するのだから、ほぼ半日を要する重労働であった。

 アマノが発売する業務用ロボット掃除機「RcDC」(RV-380iX)は、そんな掃除をほぼ無人でこなしてくれる。人手不足に伴う省人化対策として注目されている。

 掃除を始める前にタブレット端末による「清掃プランの作成」が必要だ。タブレットでまずロボット掃除機に清掃現場をセンシングさせて清掃エリアや広さを測り、清掃マップを作成して吸い込み強度など運転条件を設定していく。あとはスタートボタン押すと、ロボットが自動で最適なルートを選んで自律走行して掃除をしてくれる。

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業務用ロボット掃除機「RcDC」(RV-380iX)の走行デモ

 これは今回、シャープが初めて開発した独自の走行制御アルゴリズムによって可能になったもの。
 開発に携わったシャープ生産技術開発本部スマートロボティクス開発センターの上田泰広主席研究員は「自動移動技術を生かして、いろんなサービスロボットの開発に展開していきたい」と話している。

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シャープ・スマートロボティクス開発センター
上田泰広主席研究員


 掃除機前部にある高速回転パワーブラシがゴミをたたき出して、吸い込んでいく。ダストセンサーがゴミの量を検知して、その寮に応じて吸引力を4段階に自動切り替える。自律走行中に超音波センサーや段差検知センサー、レーザーレンジファインダーなどによって、障害物や段差を検知すると一旦停止して、回避して清掃を続ける。

 超音波センサーは8度の角度で約1メートル先まで、レーザーレンジファインダーは240度のエリアを約10メートル先まで計測できる。

 

■期待広がるロボット掃除機

 

 シャープの業務用ロボットは長崎県ハウステンボスにある「変なホテル」に納入したポーターロボットに次ぐ第2弾。いずれもシャープ社内・工場内で稼働する機器や家電にも用いられている独自のセンシング技術などが応用されている。

 アマノではこの業務用ロボット掃除機をオフィスビルや商業施設、ホテル、工場などに販売する予定だ。

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センサーで障害物を見つけると自動停止、障害物を回避して再び動き始める

 これからは重たいポリシャーを持って床を磨かなくても、ロボット掃除機が自動できれいにしてくれる。約4時間の充電で最大約2時間連続運転できる。病室の掃除にも力を発揮するかもしれない。

 橋本浩栄アマノ・クリーンシステム事業部企画課長は「業務用ロボット掃除機のニーズが拡大している」と話しており、ビルメンテナンス業界へ働きかけていく考えを示していた。

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アマノ・クリーンシステム事業部企画課
橋本浩栄課長


 本体の大きさは幅474×奥行き760×高さ565mm、重さ約30Kg(バッテリー含む)。


 

Autodesk AutoCAD LT 2016 Commercial New SLM

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シャープの「電子ノート」(WG-S30)が発売される・・・

◆電子手帳にはじまり電訳機、さらには書院、ザウルス、メビウス・・・と愛用してきたシャープのデジタル文具はことごとく消えていった。

 デジタリアンとしては一抹の寂しさを感じるのだが、10月16日に手書きノート「電子ノート」(WG-S30)が発売される、と聞くとやはりワクワクしてくる。
 確か3世代目のはずだが・・・。

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10月16日から発売される「電子ノート」(WG-S30)


 iPadiPhone用の手書きノートアプリが数多く普及する中で、どうして今更こんな通信機能もない商品がと思う。それらを上回りさらには紙のノートをしのぐ良さがあるのだろうか。そんな疑問が解消されずに今まできた。

 三日坊主、3号雑誌など長続きしないたとえの通りに、この電子ノートもこれで幕を引くのだろうか。そんな不安もあるが、ご託を並べるよりもまずは使ってみるべきなのだろう。
 市場想定価格は1万8000円らしい。



工具が漫画になった 親しみやすさを訴求へ  海外へも発信

◆もの作りに欠かせないのが工具だが、日頃使わない人にとってはどうも馴染みにくい道具である。そんな存在の工具に親しみを持ってもらい、もっとたくさんのひとたちに利用してもらい、もの作りに役立ててもらおうと、製品のプロモーションをねらった工具の漫画化が進められている。

 その先陣を切ったのがパワーペンチ「ネジザウルス」で一躍その名を国内外に浸透させたエンジニア(大阪市、高崎充弘社長)である。ネジザウルスの商品キャラクター「ウルス」を創り、ゆるキャラコンテストに挑戦するほか漫画、アニメとして幅広くネジザウルスの効能をアピールするのに一役も二役もかっている。

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ネジザウルスのキャラクター「ウルス」

 ネジザウルスは初代の発売から5代目の「ザウルスRX」まで、約10年間の累計販売本数は約250万本という大ヒット商品になっている。

 キャラクター「ウルス」による工具への親しみ度をアップさせたことによる成果だ。最近ではストラップにもなる「ちびウルス」も発売するほどで、キャラクターグッズの販売にも乗り出している。

 今度はネジザウルスの開発秘話などを書いた書籍「ネジザウルスの逆襲 ~累計250万丁の大ヒット工具は、なぜ売れ続けるのか~」(高崎充弘著、日本実業出版)=写真=が9月30日に発売される。

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 物の販売にはマーケティング(M)やプロモーション(P)パテント(知財戦略、P)デザイン(D)が欠かせないという独自の「MPDP理論」から中学の劣等生が大学に進学できた理由、造船会社のエンジニア時代の失敗談、ネジザウルスの大恩人所ジョージさんとの交わりなど、高崎社長の半生も盛り込んでの内容でネジザウルスをアピールする。工具のプロモーションとは思えない大胆な展開である。

 これに刺激されたのか新亀製作所(藤本豊久社長)とオルファ(岡田真一社長)、三共コーポレーション(瀬川洋社長)の大阪市内の工具メーカー3社が、 それぞれの製品を擬人化したキャラクターたちが繰り広げるWeb漫画「ONE ROBOT PROJECT」を公開している。

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新亀製作所、オルファ、三共コーポレーション3社のキャラクターたち

 すでに3話まで公開されている。20~40代のロボットアニメファンをターゲットに各社の製品の認知度を高め、顧客を拡大するのがねらいだ。

 今年4月に第1話を公開してプロジェクトをスタートさせた。物語は近未来の大阪を舞台に、未知の生命体と戦闘を繰り広げるSF。ロボットのパイロットや整備士、科学者、甲板スタッフなどが各社の製品を愛用する場面が盛り込まれている。

 今後3社はオリジナルキャラクターを商品ラベルに起用して、売り場での差別化を図ったり漫画の海外発信も考えている。



インタビュー 共立電子産業代表取締役会長 蘇建源 第5回 「転機」

創業以来ジャンク品の販売で業績を伸ばしてきた共立電子産業に、さらなる発展をもたらすのは半導体やパソコンの出現だった。創業者で代表取締役会長の蘇建源氏は「正規の半導体を扱うようになるとジャンクはあまり触らない方がいいんですよ。ICなんかは信頼性そのものなんですから、半導体のジャンク品なんていうのは絶対にアカン」と、方向転換の背景に半導体の登場を指摘している。

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NEC TK80

 同社のジャンク品は大阪市内や堺市内などの解体屋からジャンク品を仕入れて販売していた。

 「解体屋さんは野田阪神にも2軒ほどあった。堺の浅香山にもあったし、あちこちにあって、トランスや電線を良く買っていた」

 電線の中でもたとえば高周波用電線は芯線の上に絶縁体があって網状に包まれている。さらに皮膜があって複雑な構造である。それだけに解体屋も処置に困るが、共立電子産業はそれを安く買って売っていた。

 「付加価値を付けて売ります。解体屋さんには、あれは儲かりましたよと報告してあげて、次には少し高く買ってあげるんですよ。同業者には相場を上げよったと言って嫌われたけれど、解体屋のおっちゃんは喜んでくれて、ウチのために商品を取り置きしてくれるようになりました」

 そんなことで良質のジャンク品を安定して仕入れられるようになった。それが同社の売上げを伸すことになる。ところがこうした解体屋からの直接の買い取りは間もなくやめてしまう。

 ジャンク商品の中には価値があるものもあれば、ないものもたくさんあり、リスクが伴っていたのも事実だ。「第三者のフィルターをかけて購入したほうが得」と、蘇氏は判断したのである。

 しかし時折メーカーから直接にジャンク品が出ることがあった。組み立て現場から、これは使えないとか要らないといって出てくるものが、出回ることがあった。ただそうした商品は安定して入るわけでもなく、汎用性のない特殊な小売できないものもあったするわけで、商売には適さなかった。

こうしたジャンク品のニーズの多くは「人々の向学心に支えられていた」(蘇氏)が、しかしそれも半導体の出現で変化を見せるようになる。「今まで理屈を学ばずに経験上の感覚で真空管などを触っていた人には、新しい半導体は触れなくなってしまった」(蘇氏)からだ。半導体を学ばなかった部品屋さんも半導体時代になると少しずつ消えていった。

 

転機となったTK80の出現

共立電子産業は1976年8月からTK80を販売している。これはこの年にNECが発売したマイクロコンピュータトレーニングキットである。それは「LEDが数字を示す程度のもので、何にも出来なかった」(蘇氏)のだが、その発売はエレクトロニクスファンには衝撃的で、一気にマイコンブームが起こった。同社でも社員に商品勉強を求めたが、蘇氏も自分でTK80を購入してCPUの概念を学んだという。

 「CPUという半導体が命令したら、ものを考えてくれる。単純にトランジスターで増幅したとかいうことじゃないんや。
思考する半導体は絶対に人間の代わりに仕事してくれるやんか。せやから絶対売れると自信あったんや」

 そんなことで共立電子産業は「TK80は大阪で一番たくさん売った。日本中で最も多く売ったん違うかなぁ」と話す。


 TK80を買って勉強することでCPUの概念を知り、誰よりも早くTK80を販売に乗り出している。もちろんそれまでにロジックICを店で扱うなどしてICの概念を理解していた蘇氏であるから、恐れずに新たなTK80にも手を出せたのである。

 「それでプログラムを作ったら制御に使えることが直ぐに判った。制御屋さんもそれが判ったんでしょうね。たくさんうちに買いに来ていました」

 TK80は単なるトレーニングキットであったが、同社にとって大きな転機をもたらしたことも確かだった。それが契機となってメモリー、CPU、マイコン、そしてパソコンまで、他に先駆けて販売を始めている。競合相手がまだいなかったから高く売れた。「うちはあの当時儲けたんやな」と蘇氏は笑う。

 後に上新電機などが徐々に売り始めると状況は少しずつ変って行くが、いち早くこうした商品の販売をするなど先進性が、同社をジャンク店から脱皮させることになる。




パナソニック、業界初のキュービックフォルムのななめドラム洗濯機 「Cuble(キューブル)」 11月に発売

◆掃除は面倒だが洗濯は放り込むだけできれいに仕上げてくれる手間いらずなのがいい。そんな横着者ならずとも洗濯を好きにさせてくれそうなのが、パナソニックが2015年11月上旬から発売するキュービックフォルムを国内メーカーで初めて採用したななめドラム洗濯機 「Cuble(キューブル)」なのだ。そのきれいな姿は毎日でも眺めていたくなるほどである。業界最大の洗濯物投入口を採用したほか、投入口の高さも従来機種より8センチ余高くして腰への負担を少しだけ軽くしてくれた。見た目だけでなく、洗濯機本来の洗濯・乾燥機能もパワーアップしている。

 

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空間と調和するオシャレな「Cuble(キューブル)」

 発売するのは洗濯容量10キログラムのNA-VG1000L(左開き)/R(右開き)、洗濯7キログラムの同700L/R、同10キログラムのNA-VS1000L/Rの3タイプ6機種。市場想定価格はNA-VG1000L/Rが29万円前後、同700L/Rが25万円前後、NA-VS1000L/Rが24万円前後。

 

 高さ約1メートル。小型冷蔵庫を想わせるような、シルバー色した直方体の姿。振動を吸収する凹凸がある側面以外はすべてフラットフェイスである。操作ボタン部も静電タッチパネルを採用しているので突起はない。電源を入れるとはじめてボタンが表示され、オフにすると表示は消えて見えなくなる。未来感覚なおしゃれデザインだ。

 

 直方体スタイルの洗濯機はヨーロッパでは一般的だが、それは水平ドラム。ななめドラム洗濯機は世界で初と言ってもいいのかもしれない。

 

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大きくなって約8センチ高くなった投入口

 耐食性が強くて変色しにくいクローム素材を洗濯物投入口などに用いて、シンプルな空間に調和するように工夫をこらす。その投入口は従来機種のNA-VX9500の35センチから、業界最大の42センチと約38%大きくしているから、出し入れがしやすくなった。

 

 こうした洗濯機を使う人への配慮は、投入口の位置にも見られる。本体の高さは従来機種と同じなのだが、投入口最上部の位置を8.3センチ高くしている。これはCubleが従来機種のような乾燥機用のヒートポンプを搭載していないから可能になった。

 腰をかがめなければ洗濯物を取り出せなかったこれまでと比べると、これによって身体への負担を少なくしている。

 

 投入口には従来機種ではABS樹脂を用いていたが、今回はアクリル樹脂による透明感があり傷つきにくい「クリアウインドウ」を初めて採用したことで、洗濯槽内を見やすくした。

 

 洗濯機の基本はやはり汚れを落としてきれいに洗濯することだ。

 洗剤液をヒーターで温める際に約15、40、60 ℃と3段階の温度設定が可能な「温水機能」と、泡を繊維の奥まで浸透させ汚れを浮かせて落とす「即効泡洗浄」を搭載している。これによって、黄ばみやガンコな汚れを落とし、繊維の奥の汚れも落とせるようにした。

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がんこな黄ばみもきれいに落としてくれる

 

 乾燥機能を持つのははNA-VG1000、VG700の2タイプで、新たに「低温風パワフル乾燥」(ヒーター排気式 )を開発し、室温プラス約10 ℃の低温風を約3m3/分の大風量で衣類にあて、衣類の縮みや傷み・シワを抑えてやさしく乾かします。新たに「約30 ℃槽洗浄コース」も搭載した。
 重さはNA-VG1000で72キログラム。従来の最上位機種よりも5キログラム軽くなった。

 

■Cubleでドラム洗構成比5割へ■

 

 ななめドラム洗濯機は2003年にパナソニックが初めて発売し、これまでの累計販売台数は300万台を突破している。業界のドラム洗濯機の構成比、普及率ともに15パーセントとされるが。Cubleの発売によって同社は、タテ型洗濯機からの買い替えの促進し、2016年度にはドラム洗濯機の販売構成比(金額ベース)50パーセント以上、市場シェア(台数ベース)50パーセント以上を目指している。

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ななめドラム洗濯機でシェア50%(台数ベース)をねらう

 同社は「30代のディンクスやデュークス層に支持されそうだが、広いターゲットに働きかけていく」と話している。

 

 横着者はきれいに洗うだけでなく、きれいにたたんでくれるまで、すべてをしてくれるメイド型洗濯機の出現を期待するのだが・・・。

 

大阪・日本橋のインフォメーションセンターが移転  イベント機能充実へ

◆これまで大阪市営地下鉄恵美須町駅のすぐ近く、日本橋5丁目にあった大阪・日本橋のインフォメーションセンター「日本橋総合案内所」が、2015年9月1日、北へ約100メートル先のジョーシンディスクピアこ隣りに移転しました。旧案内所があったNTTビルの建て替えに伴うものです。

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移転した日本橋総合案内所

 

案内所は、こんな商品を探しているがどこへ行けば売っているか、など毎日たくさんの人たちから問い合わせが寄せられています。
でんでんタウンエリアの地図「大阪日本橋ショッピングマップ」や英語、韓国語、中国語の地図も無料で配布されています。

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所内には街の案内がいっぱい

 

新しい案内所では従来通り、こうした街に関する質問に応えていく予定ですが、所内を使ったアニメ・漫画の作品展など、さまざまなイベントも考えています。

 案内所では「街の店舗情報やイベント情報をもっと充実させていきたいですね」と話しています。

 

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日本橋発のアイドルキャラの情報も

 

幻の東京オリンピックは世界へテレビ中継されるはずだった

 エンブレムのデザインで揺れる2020(平成33)年開催予定の東京オリンピック。オリンピック開催は単にスポーツの祭典というだけではなく、重要な国家事業として位置づけられています。前回の1964(昭和39)年の東京オリンピックは敗戦から見事に復興して、国際社会へ復帰した日本を世界にアピールする大事業でした。その前、1940(同15)年に予定されていた幻の東京オリンピックもまた、日本の力を広く世界へ誇示するためのものだったのです。日本一古い歴史を持つエレクトロニクス業界紙「ラジオ公論」(現在は「オール電気」)の歴史をまとめた「ラジオの昭和史」の中から幻の東京オリンピックの章を再編集しました。


 それは全世界へ向けてのテレビ放送という日本のエレクトロニクスの技術力を見せる画期的なものになるはずでした。日中戦争の激化、日米の関係の悪化など、最早国内ではオリンピックどころではなくなり、1938(昭和13)年に中止が決定されたのです。

 幻のオリンピックとなった東京オリンピックが計画通りに昭和15年に開催されていれば、オリンピック競技のテレビ中継が世界へ放送されていたのです。テレビ電波が海外へ飛ぶのは1957 ( 昭和32 ) 年に初のテレビの宇宙中継まで待たなければいけませんが、歴史にもしがあるならばそれよりもずっと以前に実現していたのです。
 しかもケネディー大統領の暗殺を伝える悲報ではなく、オリンピックで活躍する世界の選手の表情を伝えたはずです。

 逓信省日本放送協会は1937(昭和12)年春に共同で委員会を作って、東京オリンピックの放送設備と予算計画を練り上げた「東京オリンピック放送計画」が策定しています。
 それは総予算は4275万400円で、このうち逓信省が1581万5400円、日本放送協会が2693万5000円をそれぞれ負担するというものでした。設備計画は国内放送と国際放送に分けて組まれていました。


 国内放送設備は、競技場内に2、3の録音用アナウンサーボックスを設けるほか水泳、馬術、自動車、拳闘、ホッケーの競技場にもボックスを設ける計画で、増幅器、信号盤、監視盤なども設置する予定になっていました。
 また競技場と放送本部を結ぶために連絡用電話を架設し、競技場と放送局の間はケーブルを敷設する計画を立てています。ヨット、ボート、マラソンなどの競技には、無線中継器を導入することを考えていました。

 

 これに合わせて新しい東京放送会館をオリンピック開催までには建設する予定になっていました。すでに大阪には新局舎が完成していました。計画書には新東京放送会館の中に増幅盤、信号盤など8つの中継設備を設け、オリンピックまでに東京、大阪、名古屋、京都、横浜、神戸、松山、北九州で超短波によるテレビ放送を開始する予定だとしています。東京・大阪間の中継は同心ケーブルで、大阪・北九州間は超短波を使うとしています。

 これらの設備はすべて大会期間中に限定した臨時のものですが、大会終了後も使用する恒久設備として大阪と北九州に100キロ二重放送施設、根室、青森、米沢、福島、飯田、姫路、福山、宇和島、松山、萩、久留米、佐世保、大分など19カ所に小電力放送局を設置する計画でした。

 

 一方、国際放送用の設備はヨーロッパ、米国、アジアなどへ向けての国際放送用送信機として、50キロワットタイプを5台、20キロワットタイプ5台、アジア向けとしては10キロワットタイプ6台を設置するとしています。
 これらの送信機は写真電送にも利用され、放送閑散期には主要方面に向けては2台以上の送信機を使うことが望ましいとしていました。


 またいずれも電信電話兼用タイプであり、オリンピック終了後には海外へ向けての電信電話、海外放送用として転用が考えられていました。
 予算のうち臨時施設に100万円、恒久施設に1014万9400円が充てられ、またテレビ施設に1856万1000円、国際放送設備に835万円とされていました。




 

音楽を聴くスタイルが変わる

◆「歌は世につれ世は歌につれ」と言われる。ある時代によく歌われる歌は、その時代の世情を反映しているものだという意味で用いられるが、歌(音楽)を聴くスタイルがこのところ急速に変化してきている。デジタルという世(社会)の変化に伴うものであるが、今、エレクトロニクス業界と音楽業界に大きな変化が生じ始めている。

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9月末で閉店するサウンドパル共電社

 大阪・日本橋4丁目の高級オーディオ・ビジュアル専門店の老舗小池電気が8月で閉店したのに続いて、同5丁目のやはり老舗のサウンドパル共電社が9月末で閉店する。
 かつて利用していた店がなくなることを寂しく思う人たちは少なくはないが、かと言って彼らが今後も店舗でオーディオ機器を購入するかと言えば、そうとも限らない。

 購入先は全国チェーンの大手家電量販店かネット通販にシフトしているが、それは一時的な流通チャンネルの変化に過ぎない。

 今、顕著になってきているのが、音楽を提供するメディアが変化し、それによる聴くスタイルが変わるということである。
 そのことによってオーディオ専門店やCDショップからは、ますます人が遠のいていくのである。

 注目され始めているのが、CDよりも高音質で、レコーディングスタジオやコンサートホールで録音されたクオリティーがほぼ忠実に再現されるというハイレゾ(高解像度)音源である。その多くはインターネットによるダウンロードによって購入する。
 従来のようにシステムオーディオやコンポーネントステレオで聴く方法もあるが、音楽専用モバイル端末やスマートフォンなどを利用するのが一般的になりつつある。

 もっともハイレゾ音源にはSACDスーパーオーディオCD)やDVDオーディオ、ブルーレイオーディオといったパッケージ系のメディアのものも含まれるが、手軽さの点では配信がまさるであろう。


 このような変化によって音楽を聴くスタイルが変わると、これまで必要だったハード(オーディオ機器)やソフト(CD)はますま不用になり、販売するオーディオ店やCDショップも消えていくということになるのだ。



 

三菱電機、大阪で「暮らしと設備ま総合展」 家電と業務機器の最新製品とソリューションを提案  話題の新技術にたくさんの人垣も

◆いろんな生活シーンに合わせスマートライフを実現する家電品から業態別の業務用機器まで、最新の製品やソリューションシステムを集めた三菱電機の「暮らしと設備の総合展」が、2015年9月2、3の両日、大阪・南港のインテックス大阪で開かれた。家電・住宅設備のスマートライフエリアの中心ゾーンにはルームエアコンのコーナーが据えられていた。左右独立に動くふたつの羽根によって、1人ひとりが感じ方の異なる暑さや寒さに合わせた空調を可能にしたパーソナルツインフロー技術を搭載した新製品の説明には、たくさんの人たちが耳を傾けていた。「いいねぇ!」を超える「ニクイねぇ!」の三菱電機の魅力を存分に感じさせてくれる2日間だった。同展はこのあと9、10日と名古屋で開かれ、引き続き札幌、広島にも巡回する予定。

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エアコンのパーソナルツインフロー技術の説明に聞き入る人たち

 インテックス大阪の5号館には家電量販店、住宅設備事業者、電気工事店、取引先企業など延べ8000人の関係者が2日間で集まった。どこのコーナーも立ち止まって係員の説明を聞く人たちでいっぱいだった。
 会場に入ってまず案内されたのがルームエアコンのコーナー。係員の1人が飛行機のプロペラのようなものを持って大きな声で説明している。足を止めてそれに聞き入る人で通路はせき止められるほどだった。

 このプロペラ、同社のルームエアコンの新製品「霧ヶ峰 ADVANCE FZシリーズ」に搭載されているプロペラファンである。
 同社のエアコンは独自開発の高精度赤外線センサー「ムーブアイ極」を搭載しているが、この頭脳部分を従来の4倍も賢くして、人の手先や足先までも温度の変化を測り、1人ひとりの暑さ寒さの感じ方を見極めることができるようにしたものである。

 その計測値に応じて、搭載している2つのプロペラファンを左右別々に動かして、さらには風の自動コントロールまでしてくれる。
 人の暑い寒いは個人差がある。しかも手と足では温度がまた違う。従来のような一律に冷暖房の風を送る方式だと、室内の場所や個人によって感じ方が異なってくる。それを解決してくれたのが同FZシリーズなのである。

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 残念なことに実際にその違いを会場で体験することはできなかったけれども、説明を聞く人たちはいずれも「販売するだけではもったいない。自分でも使わなければ」とでも言いたげな表情だった。

 次に目にはいったのが「ENEDIAゾーン」。ENEDIAは三菱電機が展開するスマートハウスソリューションのトータルブランド。

 ここではEVパワーコンディショナーと太陽光発電システム、HEMS((ホーム エネルギー マネジメント システム= 家庭で使うエネルギーを節約するための管理システム)の連携によるエネルギー自立で、省エネで便利な快適生活が提案されていた。
 冷媒に二酸化炭素を使用した電気給湯器エコキュートやIHクッキングヒーターなどの実演も見られ、ますます快適性が高まる室内を提案していた。

■話題の新製品も■

 先頃開かれた新製品のプレス発表で取材した商品もたくさん展示されていた。

 オシャレ感たっぷりなコードレススティック掃除機「インスティック」を手にとって、2.1Kgという軽さを確かめる男性なども。掃除機はこのところ販売店にとっても関心の高い商品のようだ。
 同じように関心が寄せられているのがジャー炊飯器「本炭釜」。おいしいにこだわった商品作りを進めてきた同社が極めた商品の数々を見せ、実際に炊きあがったごはんを試食するコーナーもあって、人気を集めていた。

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ジャー炊飯器「本炭釜」は三菱電機の<十八番芸>

 鮮明画像とダイヤトーンスピーカーを生かした高音質な4K対応液晶テレビや眩いばかり光を放っていたLED照明コーナーでも、思わず足を止めてしまった。

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LED照明への関心も高かった

 こうした家電品の数々を同社は「大人家電」と名付けている。家電品の進化を自分目で見ながら生活してきた、本物を知る人たちへ向けての上質な商品群である。
 「ニクイねぇ!」と言われる理由も、こうしたこだわりの商品の開発姿勢にあるのだろう。