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「日本橋にトラムを通して賑わいを進める会」 トラム先進都市富山を視察 町の魅力作り役立てたトラムの事例を学ぶ

◆大阪・日本橋の商店街振興組合などのメンバーで作る日本橋にトラムを通して賑わいを進める会」(代表・蘇建源共立電子産業会長)が、2015年7月14、15の両日、トラム(次世代路面電車=LRT)の先進都市として知られる富山市を訪ねて、トラムが町づくりもたらす効果などについて視察した。同市役所を表敬訪問したり、市内商店街の役員たちから意見を聴いた。同会では、この視察から学んだことをトラム導入の促進に役立ていたとしている。

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富山市内を走るトラム

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市民の足となっているトラム


 日本橋では2020年度をめどに商店街のメイン通りである堺筋日本橋筋)にトラムを走らせることで、町に賑わいを取り戻すことを目指している。すでに海外のトラム事情を聴くなど数回の勉強会を開いているが、国内での成功事例を学ぶことによって、トラム導入へのはずみとしたいと実現した。

 訪ねたのは同会のほか日本橋筋商店街振興組合、でんでんタウン協栄会、日本橋まちづくり振興などのメンバー総勢18人。

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トラムを商店街の魅力作りに役立てた富山市内の商店街

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町に溶け込む新型デザインの車両

 バスで富山市に到着した一行は、早速、富山駅からトラムに乗って、市内を走る路面電車の乗り心地や、高齢者など乗降客に配慮された車両やホームの段差などを確認。さらには沿線の街並みを見た。
 その後、富山市役所でパワーポイントなどを使って、トラムの利用状況や町づくりにどのように役立っているかなどの説明を受けた。

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町の緑化も

 6年前に近くにトラムが走るようになった商店街を実際に歩いて、電車が走ることによる賑わいの変化について話を聴いた。
 大都市大阪からトラムの視察にやってきたことは、地元テレビ局からも注目され、一行が視察する光景はその日のローカルニュースで放送された。

■町の魅力作りの手段


 2日目のトラム沿線の商店街の人たちとの懇談では、地元側から「町にとってトラムを走らせるのが目的ではなく、魅力的な町に生まれ変わらせるのがねらいだった。それなくてはトラムはただ通過する乗り物になるだけ」といった意見が出ていた。

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コンパクトな町に次世代路面電車がゆったりと走る

 日本橋にはかつて路面電車(市電)が走っていたが、交通量の増大に対応するために廃線になり、バスや地下鉄に取って代わられている。こうした公共交通は整備されている中、トラムの導入が求められる背景には、既存の交通機関以上に誰でもが簡単に乗り降りでき、ゆっくりと町歩きや買い物を提供できるから。
 町では導入を契機に賑わいとゆったりと流れる魅力ある新しい町の風を作りたいとしている。

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乗り降りしやすく配慮された低床車両

 視察を終えた同会の蘇代表は「町にトラムを走らせるのは、魅力的な町を作るのがねらいです。トラムはその手段のひとつなんです」と話していた。